『8時だョ! 全員集合』は日本のお笑いをどう変えたか?

伝説の幕開けといかりや長介の苦悩
週刊現代 プロフィール

西条 番組が進むなかで、コントでの役回りを通じて、それぞれのキャラがだんだん定着していった感じですよね。

田村 やっぱり、本質的にドリフはコメディアンじゃなくて、バリバリのミュージシャン。ジャズ喫茶の余興で受けたネタを、テレビでやっていた。いかりやさんの「ドリフターズです。メンバーを紹介します。私がリーダーのいかりや長介です。あとはこいつらです」という定番のメンバー紹介も、ジャズ喫茶時代から変わらない。

西条 ドリフの笑いにとって、台本は譜面みたいなものだったのでしょう。キチンと譜面通りに弾く。一人ひとりが目立つべきところはキチンとソロパートが用意されている。演奏とコントに通じるものがありました。しっかり作られているぶん、いま見ても十分面白い。

田村 『全員集合』の場合、放送前の前説も全部いかりやさんがやっていた。そのまま一気に、「8時だよっ!」「全員集合!」の掛け声にはいる。

松田 生放送のピリピリムードはもう、凄かったですよ。付き人もオープニングの「♪エンヤーコラヤット」の踊りでテレビに出られるんだけど、もう気が気でない。僕らはメンバーの着替えが主な仕事なのですが、オープニング直後のコントのための早着替えがものすごいプレッシャー。衣装もこだわり抜かれていたから数が半端じゃなかった。

田村 こだわりと聞いて思い出すのは、やっぱりあの「ウンコ」だね。小道具ひとつひとつにこだわりがあるから、小道具担当の方がどうしたら理想のウンコができるか、研究に研究を重ねていた。ある日、目を輝かせながら「田村さん、わかりました! 一番それらしく見えるのは3周り半です」って(笑)。

松田 今でこそ「ウンコ」といえば誰もがあのソフトクリーム型を思い浮かべますが、その原型は『全員集合』から生まれた。

西条 一時期風水に凝られた高木ブーさんが、家の玄関にあのウンコを置いていたとか。

松田 あれ、いまだに高木さんの家に置いてありますよ(笑)。

西条 オナラなんかも、独特の音響でしたよね。今から考えると、生のコントであれだけ合わせるのはすごいこと。

松田 ドリフのコントは音やリズムと切っても切れない。「東村山音頭」だって、「ヒゲダンス」や最後の「♪ババンババンバンバン」にしたって、あの小気味良いリズムがあったから、爆発的にヒットした。そう考えると、音響さんは、まさに6番目のメンバーでした。

西条 いろんなブームを作った番組ですよね。じゃんけんの定番の掛け声、「最初はグー」も、この番組で志村さんが初めて使った。

田村 「カラスの勝手でしょ」はいかりやさんが久世光彦さんからもらったアイディアだった。「うちの坊主が、学校でこんな替え歌を覚えてきてさ」と久世さんに何の気なしに言われて、「おもしろい!」と飛びついた。