高知のダメ支店を「日本一」に変えた、キリンビール営業マンの奇跡

「高知が、いちばん。」誕生秘話
田村 潤

いまのラガーはあまりにまずい!?

ある日、知り合いのクリニックの院長先生から手紙が来ました。

高知支店 田村支店長殿

残暑お見舞い申し上げます。
わたしは成人してからずっとキリン党でした。過去形で語らなければならないのが哀しいのですが、あの美味しかった昔のラガーをばっさりと切り捨て。フラチな今のビール。あまりにまずくて比べものにならぬものを「LAGER」として発売する姿勢には共感できません。

今朝、地区の不燃物の分別回収の見張り当番がまわってきました。缶ビールも大箱に4個半ほど捨てられていたので、暇に飽かして銘柄を調べてみたところ、ラガーは二百数十本ある空き缶のうち13本でした。過半数がスーパードライ。ほかに目立つのは秋味、黒ラベル、一番搾りといったところ。

一昨日の医師会の会合でも「アサヒにしてほしい」というドクターが多く、スーパードライがズラリと並びました。(中略)

わたしの患者さんのスナック経営者にも「ラガーは死んだ」と話したところ「先生のおっしゃるとおり、アサヒを試しに置いてみたら3週間あまりでスーパードライが主流を占めて売り上げも2割ほど伸びました」という報告を受けた次第です。この小さな町でも「LAGER ONLY」の店はもう殆どありません。(中略)

これが最後の呼びかけです。もう二度とペンはとりません。以前の美味しいラガーを何とかして再発売に踏み切ってください。残り少なくなった「キリンファン」の殆どがそれを望んでいると思います。

この手紙をもらったときには、ラガーをこんなに愛してくれているファンがいるのにそれをメーカーの都合で裏切り続けていることを痛感せざるを得ませんでした。

「高知には昔からラガーの顧客が多いのに、無視して勝手に味を変えた」
こういう話題はお酒好きが多い高知県民の恰好の酒の肴になり、飲むシーンが多い高知で、なおさら口コミとして広がっていきました。