高知のダメ支店を「日本一」に変えた、キリンビール営業マンの奇跡

「高知が、いちばん。」誕生秘話
田村 潤

「高知が、いちばん。」

「この300万円を使ってダメなら、もうごめんなさいしよう」という気持ちで仕掛けたのが、「高知が、いちばん。」という新聞の15段広告でした。

高知限定のポスター

高知のいろんな人100人がラガーの大瓶を担いでいるイメージをイラストで描きました。

そこに大きく、「高知が、いちばん。」のキャッチコピー。ひとりあたりのラガーの大瓶の消費量が全国1位であることに対しての感謝広告でした。「去年も高知の人にいちばんラガーの瓶を飲んでいただきました」とサブコピーを添えました。

人前でしゃべるのが大の苦手のわたしが、とにかく機会があればメディアに出て、このメッセージとともに、御礼を述べました。この方法はこの後もずっと続くことになりました。

この「高知が、いちばん。」キャンペーンは地元新聞に加え、ラジオで展開しました。高知は広い県内に公共交通機関が少ないのでクルマ社会です。また、台風がたびたび来る土地柄なので情報をラジオからとります。

農家のビニールハウスでもラジオを一日流したままにして農作業をしていました。
そこでラジオのスポット広告に力を入れ、それもメッセージは土佐弁で流しました。

ポスターも「高知が、いちばん。」。大小つくって、営業に行く先々の料飲店に貼らせてもらいました。

朝は新聞から、昼間はラジオから、飲食店ではポスター。酒販店に酒を買いに行ってもポスター。これを1カ月続けると、「高知ではキリンが売れているのか。じゃあ、またもう一度キリンを飲んでやろうか」という気持ちを喚起することができたのです。

「ラガーは高知で日本一飲まれているらしい」という情報が数カ月で一気に市場に広がったという手応えがありました。

考えると、この「ラガー瓶消費量全国1位」というのは、本来お客様にとって何のメリットもないことです。しかし、この「高知が、いちばん。」というコピーは、高知の人々の琴線に触れることができました。なにせ、離婚率が全国1位から2位になっても悔しがる県民性です。

高知の人は「いちばん」が大好き。