世界で進む「大麻合法化」。裏社会の住人にその実態とホンネを聞いた~丸山ゴンザレス・中南米突撃ルポ!

『クレイジージャーニー』裏日記⑤
丸山 ゴンザレス プロフィール

N.Y.チャイナタウンのディーラーと密会

アメリカへのドラッグの流入ルートは、まずメキシコのティファナやアメリカ南部・西部の国境エリアから密輸され、サンディエゴからロサンゼルスに集められる。そこから裏の流通ルートに乗って全米各地に送られる。なるべく人口の多い大都市を目指すのは、それだけ需要があるからというだけでなく、原産地から離れれば離れるほど高く売りさばくことができるからだ。

生産者と流通業者とは別の側面からドラッグ・ビジネスを取材するため、私はニューヨークのチャイナタウンを訪れた。

夜のチャイナタウンを徘徊しながら、私は友人から紹介された薬物小売り業者の男からの連絡を待っていた。こちらはあくまで客として彼にコンタクトをとっているので、特別に気負う必要もないのだが、私には本当の目的があった。世界一の大都市でドラッグ販売の実態を探ることだ。

ただマリファナを吸いたいだけなら、路上でマリファナ臭を漂わせているホームレスにでも頼んで買えば済む話だ。しかし、そんなことをしても意味がない。マリファナが合法化されつつあるアメリカで、マリファナを使った商売をしている裏社会の商売人としての話を聞きたかった。

しばらく待機していると連絡が入った。電話で指定された場所はチャイナタウンの奥まった場所にある少し古びたビル。メインの入り口はオートロックで、部屋の鍵もきちんとしたものだった。出迎えてくれたのは40歳ぐらいの中国系アメリカ人。「ようこそ。お待たせしたね。日本から来たんだろ」と、初めて訪問した日本人相手にも笑顔で対応してくれている。

「それで何が欲しいんだ?」
「実はニューヨークでのドラッグ・ビジネスについて聞きたいんだ」
私と彼の間に緊張が走った。気のせいではない。男の顔から笑みが消えていた。

少し私の顔を眺めたあとでパソコンの前に座った。何やら入力している。いったい何がしたいのか。

「これ、日本語でなんていうんだ?」
「?」
意味がわからないでいる私に男は追い打ちをかける。
「教えてくれ」