世界で進む「大麻合法化」。裏社会の住人にその実態とホンネを聞いた~丸山ゴンザレス・中南米突撃ルポ!

『クレイジージャーニー』裏日記⑤
丸山 ゴンザレス プロフィール

まずはジャマイカの生産者に会いに行く

日本では麻薬に対して厳しい目が向けられる。マリファナも麻薬ではあるのだが、海外では、他の麻薬に比べれば比較的寛容であることは、ご承知の通りだ。

たとえばハワイのワイキキビーチを夕暮れに歩いていると、

「大麻、買わない?」

そんなふうに声を掛けられることも多い。おおよそ無視するようにとガイドブックにも書いてあるし、相手にすればツアーガイドからも注意されるだろう。もちろんそれは間違っていない。

ただ、私の場合だと、声を掛けられても無視はせず、話を聞いてみることがある。アングラビジネスを取材する身として、現物を見たり、販売価格を知りたいという理由からだ。ただし、末端のプッシャー(麻薬の売人)を相手にしていても、生産から流通、販売までをビジネスとして扱っている供給側に接触することはなかなかできない。

それでも世界各地を訪れるたびに、小さな努力を重ね、自前のコネクションを作ってきた。おかげで何度か、ドラッグ・ビジネスを直接取材するチャンスが巡ってきた。

過去の取材のなかでも印象深かったのは、ジャマイカの「ガンジャファーム」を訪れ、農園主にインタビューをした時だった。壮年と思しき彼だが、肉体は頑強で日焼けしていることから、若々しく見えた。

「マリファナが法的に認められて、ジャマイカの連中が潤ってくれたらそれでいい」

マリファナ合法化について尋ねてみると、彼はそう語った。自分たちの作るマリファナの品質に対する自信があるのだ、という。彼らが栽培するマリファナは、合法的に輸出されるわけではない。大半が「密輸」という形をとっている。

「私がやっているのは作るところまで。そのあとは別の業者の担当だ。特に国境をまたいで運ぶ連中は昔から苦労しているんだ」

「そこなんですが、どうやって密輸しているんですか?」
「船と飛行機を使う。飛行機の乗組員を買収することもあるし、船体に取り付けることもある」
「船体って、外壁ですか?」
「外壁に特殊な磁石でくっつけるんだ」
「なんか映画みたいですね」
「もちろん完全防水で密封するけどな。濡れたら売り物にならない」

マリファナ大国のジャマイカといえども、国外に持ち出すのは相応のリスクと苦労があることが伺えた。マリファナは国境をまたぐたびに価格が釣り上がっていくというが、それも納得できる。

このように流通方法を考える連中のことを「ブレイン」と呼ぶ。彼らは常に、確実にかつ大量に運び出せる方法を編み出しては、密売組織に提案していくのだ。裏社会のアイデアマンが生み出したやり方は定着することもあるし、珍事件として世界中に配信されることもある。

たとえばメキシコとアメリカの国境地帯では、機体に大量の麻薬が取り付けられた大型のドローンが墜落する事件が起き、「新たな密輸方法」としてニュースで取り上げられていた。