松山英樹&スピース 2016マスターズ「魔の刻」に何が起きたか

2人の若武者を襲った悲劇の真相
週刊現代 プロフィール

スピースは、池に2度入れるという信じられないミスを犯し、結局5打目となる打ち直しもバンカーへ。このホールは、6オン1パットの7という悪夢のようなスコアになってしまった。

ゴルフはプレー中、他の組で回る選手のスコアを周囲の人間に聞くことができない。戦略のアドバイスと取られる可能性があるためだ。では、なぜスピースは10番ホールのティグラウンドで、「パープレーで十分」と思うことができたのか。

「マスターズでは、18番グリーンの脇に大きなリーダーボードが掲出されるんです」(前出・舩越氏)

ゴルフはクラブハウスを出てスタート、戻って終了という競技。ゆえに、スタートホールのティグラウンドと最終ホールのグリーンは隣り合うことが多い。前半を終えたスピースは、10番ティグラウンドへ向かう途中で、2位以下の選手と何打差あるのか、確認した。

皮肉なことに、前回王者は自分自身の手で「魔」を生みだし、戦いを難しくしてしまったのだ。

前日に始まっていた「異変」

この日、スピースと同じく「魔の刻」を過ごした選手がいる。松山英樹だ。彼は、スピースより早い前半のハーフで落とし穴にハマった。現地でレポーターを務めた、芹澤信雄プロが語る。

「松山のつまずきは、最終日、4番ホールのパー3でしょう。実は、グリーン手前のバンカーからイメージどおりに打てたはずの球が、傾斜の途中で止まったんです。僕も横で見ていて『なぜ、ここで止まるの?』と驚きました。本当に不運。正直、あと1cmでも上に落ちていれば、カップに向かって傾斜を転がり落ち、タップインでパーが取れる距離についたと思います。

本人も『あのショットはショックでした』と振り返っていました。イメージと違う球の動きにショックを受けて、引きずってしまったのだと思います。しかし、オーガスタではそれが致命的。少しでも気持ちが沈むと、簡単にボギーやダボが出てしまうんです」