森友哉「圧倒的打撃センス」を持つ男
~西武首脳陣の悩みは捕手をやらせるかどうか

二宮清純レポート
週刊現代 プロフィール

キャッチャーとしての評価

恐いもの知らずの森が「異次元」と評する投手がいる。162km右腕の大谷翔平(日本ハム)だ。甲子園では高2の春に対戦し、3打数2安打と森に軍配が上がった。

しかし、プロではこれまで通算17打数2安打6三振と沈黙を強いられている。外野スタンドには、まだ1本も届いていない。

森の大谷評はこうだ。

「投げ始めは、まだボールが見えるんです。ところが、とらえた!と思った時には、もう空振りしている。あるいは詰まっている。どこでとらえればいいのかわからない。どれだけ早く始動してもうまくいかない。こんなピッチャーは大谷さんだけです」

パ・リーグには一騎打ちの物語がよく似合う。野茂英雄vs.清原和博、松坂大輔vs.イチロー。森のフルスイングが大谷の162kmを粉砕する日は、やってくるのだろうか。

気になるのは、森の将来である。打てるキャッチャーを目指すべきなのか、それともマスクを捨て、バット一本に絞るべきなのか。

2人の元キャッチャーに話を聞いた。ひとりはWBC元日本代表の里崎智也。千葉ロッテ時代は捕手としてベストナインとゴールデングラブ賞に2度ずつ、輝いている。

「まだプロのスピードに慣れていない。プロのピッチャーが投げるボールは球種もスピードもアマとは全然違う。それがワンバウンドの捕球技術も含め、キャッチングが不安定という評価につながっている。キャッチャーとして試合に出ていないのだから、プロのスキルが身につくはずがない。大きく育てたいなら、スキルが身につくまで二軍で辛抱強く育てるしかないでしょう。

ただ、キャッチャーに専念した場合、今のように打てるとは限らない。というのも、キャッチャーはミーティングの時から、考えるのは相手打者や自軍の投手のことなど、自分以外のことばかり。100あったら、自分の練習は10か20くらいです。つまり"キャッチャー森"のバッティングは、まだ未知数だということです」

続いて西山秀二。広島時代にはベストナインとゴールデングラブ賞を2度ずつ獲得している。彼は内外野を守った経験も持つ。

「皆、口を揃えて"キャッチャーはリード"と言いますが、捕る、投げるといった最低限のことさえできていれば、僕はバッティングのほうが大切やと思いますね。

考えてもみてください。皆さん、最初のうちは阿部慎之助(巨人)のことを〝リードが悪い〟とボロクソ言ってたでしょう。ところが、あれだけ打つと誰も文句言わんようになった。

森は体は小さいけど、体幹がしっかりしていて安定感がある。バッティングも、ただがむしゃらに振ってるんじゃなく、どんなボールにもうまく対応していますよ。後は監督が(キャッチャーとして)使うか、使わんか。それだけの問題ですよ」