森友哉「圧倒的打撃センス」を持つ男
~西武首脳陣の悩みは捕手をやらせるかどうか

二宮清純レポート
週刊現代 プロフィール

こうした森の非凡な打撃センスは、どうやってもたらされたものなのか。

本人の回想。

「小さい頃から、ああしろ、こうしろ、と言われたことはないですね。当てにいくバッティングはするな。とりあえず振れ、という指導でした。

理想はコースに逆らわないバッティング。基本的に(狙っている方向は)ショートの頭ですね。(右方向に)引っ張るというイメージでは振っていないです」

天才打者の足跡をたどろう。

大阪府堺市生まれの森が野球を始めたのは5歳の時である。中学時代はボーイズリーグの堺ビッグボーイズに所属し、3年春には全国大会で準優勝している。

「明るいヤンチャな子でした」

それが堺ビッグボーイズ瀬野竜之介代表の森に対する第一印象だ。

「すぐれていたのはバットの芯に当てる能力。ウチは硬式野球のチームで試合は金属バットなのですが、技量のある子には木製バットで練習させていました。

彼の力を持ってすれば振り回して柵越えするのは簡単なのに、逆方向に打つ練習を熱心にやっていた。"将来のキミのために役立つ練習だ"と言うと納得してくれましたね。

特段、勉強のできる子ではなかったけど、"これは自分のためになる"と思うと、すんなり受け入れる。何が必要で、何が必要じゃないか。それを判断できるのも大切な才能のひとつだと感じましたね」

高校は強豪の大阪桐蔭へ。2年の夏には藤浪晋太郎(阪神)とのバッテリーで全国制覇を果たす。1番を打ち、打率4割、5試合で2本のアーチを架けた。

大阪桐蔭といえば中村剛也(西武)、浅村栄斗(同)、中田翔(北海道日本ハム)らの出身校だ。西谷浩一監督は選手の将来をにらんだ枠にはめない指導に定評がある。

その西谷は言う。

「僕が森に対して"ああしなさい"と言ったことはないですね。自分で考えながらフォームを固めていったと思うんです。

ただフルスイングといっても、大振りとは違うでしょう。彼は鋭くコンパクトに振っている。特にスイッチが入った時の彼は、凄まじいばかりの集中力を発揮する。プロに入って、レベルの高いピッチャーと対戦することで、さらに研ぎすまされていってるんじゃないでしょうか」

地面に根を張るようなフォームは独特である。強靭な下半身が驚異のフルスイングを支えている。