森友哉「圧倒的打撃センス」を持つ男
~西武首脳陣の悩みは捕手をやらせるかどうか

二宮清純レポート
週刊現代 プロフィール

打てるキャッチャー。森の魅力はこれに尽きる。球界においては希少価値だ。まるでピッチャーが投じたボールを、根こそぎかっさらっていくようなフルスイングは、スタンドにどよめきを呼ぶ。鶴岡親分(鶴岡一人=通算1773勝・史上最多勝監督)風に言えば"ゼニのとれるスイング"である。

デビューの印象が、鮮烈にだった。ルーキーイヤーの'14年のシーズン、8月14日から16日にかけて、3試合連続ホームランを記録してみせた。

これは高卒新人では'68年の江島巧以来、46年ぶり。史上3人目の快挙だった。

その中身が凄かった。1本目はレフト、2本目はライト、3本目はセンターと3方向にきれいに打ち分けた。"広角打法"ならともかく"広角ホームラン"なんて聞いたこともない。

小さな怪物――。そんな言葉が、私の脳裡に刻まれた。

清原和博や松井稼頭央などを育てたことで知られる元西武打撃コーチの土井正博は、こう言って舌を巻いたものだ。

「森は構えた時に余計な力が入らない。インパクトの瞬間だけ力を入れるコツを知っている。あんな19歳を見たのは清原以来や。柔道でいえば、入門した時から黒帯を締めていたようなもんやね」

勉強はできなかったけど

2年目の昨シーズンは、オールスターゲームのファン投票で、両リーグトップの53万6267票を集めた。

ファンの期待に応えるかのように森はマツダスタジアムでの第2戦、中日のサウスポー大野雄大からライトスタンドに目の覚めるような2ランを叩き込んだ。

球宴における10代のアーチは清原以来だった。

シーズンが終わってみれば138試合に出場して、打率2割8分7厘、17本塁打、68打点。DHとしても及第点である。

森の打撃センスが、いかに抜きんでているか。それは昨シーズン、216安打の日本新記録を達成したチームの先輩・秋山翔吾が彼のバッティングを手本としたことでも明らかだろう。

秋山は語っていた。

「よく見ると構えた時、左手をあまりギュッと握っていない。やや遊ばせているんです。そしてインパクトの瞬間だけ力を入れる。さらに言えば、バットは寝かせ気味で、来たボールを素直に打ち返している。"これは、自分にも使えるんじゃないか"と……」