坂口恭平の熊本脱出記(1)あの日、東京で感じた「予兆」〜そして家族の待つ熊本へ

「新政府」総理大臣が緊急特別寄稿!
坂口 恭平 プロフィール

戦時下で、あるいは太古の時代に人々が苦しい状況におかれているときに、音楽と物語は、鬱屈し、恐怖にあおられている人々を励まし、鎮め、深い眠りを提供する。僕は自分の仕事をもっと続けていきたいと思った。

危機下で一番役に立たなそうな音楽と物語こそが、実は子供たちにとっては一番の薬だったのである。

しかし、僕は一人で眠ることができなかった。頭が冴えて仕方がない。いつ地震が起きても動ける状態でいた。

この時点で、僕自身も24時間以上起きている。このままだと倒れてしまう。そこでテーブルの下に入って、アオを腕枕して目と口を閉じ、ただ黙って、起きたまま体を横にしておくことにした。それでも意識だけははっきりとさせていた。

余震は必ず起きると思っていた。

第2回「真夜中に襲ってきた激震! 避難所で鬱になった理由」はこちら(gendai.ismedia.jp/articles/-/48481)

坂口 恭平(さかぐち きょうへい)
1978年、熊本県生まれ。建築家、作家、芸術家、音楽家。2004年、路上生活者の住居を収めた写真集『0円ハウス』を刊行。『ゼロから始める都市型狩猟採取生活』などで0円で生活する術をしめす。2011年、震災をきっかけに新政府を樹立し、『独立国家のつくりかた』を発表。2014年、小説『幻年時代』で第35回熊日出版文化賞受賞、小説『徘徊タクシー』が第27回三島由紀夫賞候補となる。近著に第57回熊日文学賞を受賞した『家族の哲学』がある。 ツイッターはこちら→https://twitter.com/zhtsss

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