清原和博を縛った「男は強くなければならない」という呪い

だから、日本の男は「生きづらい」
田中 俊之 プロフィール

「大きな夢」は呪いである

「普通」の人生を歩んできた中年男性たちは、自分は「特別な人間」になれないのではないかという漠然とした不安と焦燥感に悩まされ、急に仕事を辞めて小説家や写真家を目指して周囲に迷惑をかけたり、場合によっては精神を病んでしまったりする可能性もある。「大きな夢」を抱けという「煽り」は、少年たちにかけられた呪いとさえ言える。

冒頭でも引用した『FRIDAY』のインタビューで、清原和博は指導者としての夢について聞かれて、次のように答えていた。

「今は野球から離れて、一回フラットになって、そっから冷静に自分がどういう行動を起こしていくべきなのか考えていきたいね。今はちょっと心身ともに休めてあげたいなっていうところやな」

2016年3月17日に保釈された後、入院した病院の場所、1日あたりの入院費から報道陣に差し入れた弁当の中身に至るまで、「清原和博」をめぐる報道は加熱している。スターの宿命ゆえに、「舞台裏」に引き下がることは許されず、今日でもなお、清原は職業としての「清原和博」を演じ続けている。 

「日本一の男」にまで上り詰めたはずの清原和博が感じていたと思われる「渇き」と一般の男性が胸に秘める「渇き」には、「男であること」という共通の原因が存在している。

求められているのは、清原和博を含む全ての男性たちが、「男であること」から降りることを可能にする新たな視点なのである。そして、その視点こそが男性学なのだ。