鈴木敏文・電撃退任の舞台裏!~カリスマ経営者は「クーデター」に倒れるのか

週刊現代 プロフィール

この会見で明らかになった、もう一つの意外な事実—それは鈴木氏とイトーヨーカ堂の創業家である伊藤家との確執だ。名誉会長の伊藤雅俊氏(91)は、イトーヨーカ堂出身でセブン&アイをここまで大きく育てた鈴木氏の経営手腕に全幅の信頼を置いていると見られてきた。

だが、鈴木氏の側近たちが今回の人事案に関して名誉会長の承認を得ようとしても、伊藤氏のハンコが押されることはなかった。イトーヨーカ堂の元幹部が語る。

「'92年に総会屋問題が起きて経営責任が問われたとき、鈴木さんが『私がやめます』と申し出たにもかかわらず、当時オーナー社長だった伊藤さんは『自分が辞めるから、あとの経営を頼んだ』と鈴木さんに全権を委任しました。これまでも伊藤さんが鈴木さんの経営戦略に口を出すことはなかった。しかし、今回の人事案で伊藤さんは鈴木さんの反対に回った。これは50年以上二人で一緒にやってきて、初めてのことでしょう」

鈴木氏は会見で「創業家との関係」について問われ、「世代が変わった」という意味深な言葉で説明した。意図するところは正確にはわからない。ただ、雅俊氏の次男である順朗氏(57)と、敏文氏の次男、康弘氏(51)は共にホールディングスの取締役・執行役員についており、二人の間に確執が高まっていたという証言もある。セブンイレブンの関係者が語る。

「康弘氏はオムニ7というネットショッピング事業を統括していましたが、昨年度は80億円以上の赤字を出し、経営手腕に疑問符がついている。にもかかわらず、今回の人事案が出る10日ほど前から『セブンの社長は、ワンクッションおいて俺で決まり』と社内で吹聴していた。

敏文会長は会見で世襲の思惑を否定していましたが、心の片隅に息子に継がせたいという気持ちがなかったと言えば嘘になるでしょう。でも康弘氏が社長の器だと考える社員はほとんどいなかった。

一方、順朗氏は周囲の人望も厚く、今後ホールディングスの経営の中心人物になっていく可能性が高い」

会見で、敏文氏は「ここではお恥ずかしくて申し上げられないのですが、『獅子身中の虫』がおりまして、情報をいろいろと外部にもらしていた」とまで述べた。ここで、鈴木氏が『虫』と指摘したのは、伊藤家の取り巻き、そして反鈴木派であることは間違いないが、とりわけ外資系ファンドのサードポイントに情報漏洩していた人物のことだろう。