「ほら吹き野郎のテッド・クルーズは、雑誌に載った私の妻(メラニア)の写真を自分の宣伝のために使いやがった。気を付けろよ、大ウソつきのテッドめ。お前のかみさんの秘密をばらしてやるからな」
「言っておくけど、あの写真は、私たちが出したものじゃない。ドナルドめ、私の妻のハイディを攻撃するつもりか。お前は私たちが思っていたよりも臆病者のようだな。この卑怯者め」
およそ大国の大統領候補の舌戦とは思えないほど低レベルで品のないやりとりがくり広げられている。このようなやりとりをツイッター上で交わしているのは、アメリカ大統領選の共和党候補指名をめぐって争っている不動産王のドナルド・トランプ氏とテッド・クルーズ上院議員である。
ことの発端はこうだ。3月29日に行われる予備選に向けて、反トランプでクルーズ陣営を応援する政治資金団体「アメリカを偉大な国にしよう」が、インターネット上の選挙広告で、トランプ氏の現在の妻であるメラニアさんのヌード写真を使用した。
写真は2000年に国際的男性ライフスタイル誌『GQ』に掲載されたもので、トランプ氏が所有するプライベート・ジェットの中で撮影された。
ふかふかの毛皮の敷物の上に全裸で横たわるメラニアさんが、手錠でブリーフケースにつながれているという煽情的な一枚である。写真が雑誌掲載されたとき、表紙に謳われていた見出しは「3万フィート上空のセックスで、マイルを稼ぐメラニア」という刺激的なものだった。
クルーズ陣営が投稿した広告には次のような文言が添えられていた。
「こちらが、メラニア・トランプ、米国の次期ファーストレディになるかもしれない人です。
それがいやなら今度の火曜日(29日)にテッド・クルーズを支持するという手もあります」