「一億総活躍」を恐れる人が急増中!
〜60歳過ぎたら、もう働きたくありません…

週刊現代 プロフィール

周囲に年の近い社員はいない。「ゆとり世代」の若手とも日々向き合わねばならないのは、正直言ってやりづらい。不本意な人事なのだから仕方がない、この状況はオレのせいじゃないんだ—と自分に言い聞かせるが、どうしても脳裏には「老害」の二文字がよぎる。

「最近は部下も慣れてきて、私の意見をなかなか聞いてくれなくなっているような気がするんです。仕方ないと分かっていても、ストレスは溜まります。若い人の言うことも一理あるな、と思うことは多いので、私が無理にリーダーを続けなくてもいいと思うのですが……会社の狙いが、いまいち掴みきれません」

もう解放してくれ!

月並みな表現だが、少なからぬサラリーマンが、定年後の「第二の人生」を楽しみにしている。今回、体験談を寄せた人たちも、「うまくいくかどうかは分からないけれど、会社を辞めたら、退職金を元手に妻と店をやる約束だった」「地方に移り住んで、畑でもやろうと思っていた」と口を揃える。

これまでは、それでいいはずだった。だが今となっては、「悠々自適の老後」など、時代が許さない。「60過ぎたら、もう働きたくない」—と願うことは、まるで「罪」であるかのような空気が、この国を覆ってしまった。

そんな空気に流されるようにして、つらい日々を送っている人もいる。茨城県に住む60歳の元エンジニアの男性は、せっかく58歳で早期退職をしたにもかかわらず、現在、諸々の事情から職を探しているという。

「私は転職を2回しているし、最後に勤めた会社でも子会社へ出向させられたりしたので、多少早めに辞めたところで、そんなに退職金も変わらない。ちょうど父親が認知症になってしまって、そちらの介護が大変になってきたので、早期退職を決心したんです。

しかし、昨年の夏に今度は母ががんになってしまった。首が回らなくなったというほどではありませんが、足りると思っていた老後の資金に、黄信号が灯りました」

幸いにしてがんは治癒したが、男性の妻は「これからが不安になってきたから、やっぱり働かない?私もパートに出るから」と言い出した。

「ずっと家にいるとあなたまでボケるわよ、と言われたんですが、この辺は田舎ですし、ハローワークに行っても清掃員や建物・公園の管理人といった求人がメインです。

初めて公園の管理人の面接に行った時は、失敗しました。みんなラフな格好で来ていたのに、私だけスーツにネクタイで行ってしまった。どうしても、サラリーマン時代のクセが抜けなくて……不採用でした。意外と狭き門なんですね」

もちろん働けば、いくばくかのカネは得られる。だが、これまで40年近く会社に、そして世の中に尽くしてきたのに、まだ解放されないのか。まだ苦汁を舐めたり、恥をかいたりしなければならないのか。

一生懸命働いてきた。60歳になったら、もう休みたい—そう思うのは、そんなに悪いことなのだろうか。

 「週刊現代」2016年4月16日号より