「一億総活躍」を恐れる人が急増中!
〜60歳過ぎたら、もう働きたくありません…

週刊現代 プロフィール

しかし、早期退職願を提出して約2ヵ月が経った頃、突然人事に呼び出された。

「てっきり退社についての話だと思ったら、正反対でした。『合併を機に、定年を65歳にすることになったから、会社に残ってほしい』と言われたんです。『若い社員なら、次の行き先もある。でも58歳で再就職はムリだから、退社後に後悔したって手遅れになる。給料は2割減るが、ポストは変わらないから』とも」

人事は「今、この場で残るかどうか判断してくれ」と迫る。考える間もなく、押し切られる形で首を縦に振ってしまった。その夜、帰って妻に雇用延長を告げると「あらそう、仕事は続けてもらったほうが助かるわ」と、まるで他人事だった。

「結局、まだずるずると勤め続けています。

しかし、外資と合併したこともあって、やりづらいことこの上ない。仕事の流れも変わってしまったし、大事な会議には外国人の役員がやってくるから、私もヘタクソな英語で発言しなきゃならない。部下には『こいつ、この程度の英語も分からないのか』という目で見られているような気がして、つらいです。

机の引き出しには、いつでも出せるように辞表を用意しているんですが……完全にタイミングを逸してしまって、3年前に早期退職を決心した時のような踏ん切りが、なかなかつかないんです。老後の不安はないと言うと、ウソになりますし」

「老害」になりたくないし

やるせないのは、この男性のように、60歳直前まで仕事一筋で生きてきた人ほど、65歳までの「ロスタイム」に突入したとたん、むしろ疎まれるということ。

50代後半でそれなりの責任を伴う地位にある人には、会社の側も気を遣って、それなりのポストを用意する。その気遣いが、仇になるケースもある。大手事務用品会社に勤める神奈川県の59歳男性は、「私の場合、会社にハメられたようなものです」と苦笑いした。

「55歳を過ぎた頃から、『60歳になったら辞めるんだ』と心に決めて、部下の指導や仕事の引き継ぎにも力を入れてきたつもりでした。

それが昨年、突然『新しいプロジェクトを立ち上げるから、そのリーダーをやれ』という辞令が下ったんです。ウチの会社の慣行では、58歳を過ぎたら定年まで同じ部署・同じ役職というのが普通でしたから、何のつもりだろうと思いました」

異動先は、男性を除いて全員が40歳以下の若い部署。最初は「オレが定年になるまでには、後任がやって来るんだろう」と軽く考えていたが、どうも様子がおかしい。

「半年や1年で区切りが付くような軽い仕事とは思えない。それとなく役員に尋ねてみると、『向こう5年はやってほしい』というようなことを言われました。そんなの話が違う、と思いましたよ。

私が責任者ですから、辞めるとも言いづらい。しかし、来年60歳を超えたら、1年ごとに契約をやり直さなくちゃいけなくなるし、給料も半分になって、残業代もなし。

会社は『残業しなくていいから』と言っていますが、部下が残っている手前、私だけさっさと帰るわけにもいかないでしょう。定年になっても、まだサービス残業しろってことですよ」