「一億総活躍」を恐れる人が急増中!
〜60歳過ぎたら、もう働きたくありません…

週刊現代 プロフィール

これに呼応する動きもすでに始まった。自動車業界2位のホンダや、住宅大手の大和ハウス、外食業界2位のすかいらーくなど、「65歳定年制」を本格導入する大企業が相次いでいる。トヨタも、工場で働く社員4万人を対象に、「定年後も65歳まで同じ待遇を維持する」という新制度をスタートさせた。

確かに、「日本株式会社」そのものが斜陽にさしかかった今、少しでも多くの人間が年をとっても働いて、カネを稼ぎ、経済を回すべきだ、という理屈はよく分かる。

また、60歳を過ぎたからといって、急に体力が衰えるというわけでもない。年金だって、もう原則として65歳までは受け取れなくなったのだ。「一億総活躍」というお題目に、反論するのはなかなか難しい。

冒頭の男性のように、家族から「働けるうちはしっかり働いて、家計を支えろ」「60過ぎても雇ってもらえるなんて、このご時世に幸せだと思え」さらには「働かないと、老後のカネが足りなくなるぞ」とガミガミ言われている人も少なくない。親の介護や施設入居の費用を捻出するために、とてもじゃないが悠々自適とはいかない、という人だって多いはずだ。

しかし、である。ある時を境に線を引かれて、いきなり「ハイ、ここから後ろに並んでいる人は、もう5年働いてもらいます」と言われても、「おいおい、そりゃ聞いてないよ」と思うのが、人情というものだろう。

前出の男性が続ける。

「自分がした仕事には少なからず自信を持っていますし、真剣にやってきた、会社にも多少は貢献したと思っています。特に50を超えたあたりからは、『なんとなく惰性で過ごしていては、ダメになってしまう』『出世するにも、60歳から逆算して目標を決めなければ』と思っていました。60歳を一つの区切りとして、強く意識してきたんです。

だからこそ、今になって後出しジャンケンのように『もっと働け』と言われても、乗る気にはなれません」

だから「延長戦」は辛いんだ

都内の食品メーカーに勤める61歳の男性も、モヤモヤした思いを抱えながら、定年後も働き続けているという。

「3年前に外資系企業との合併が決まった時、早期退職の募集があったので、私はそれに応募したんです。

もともと私が仕事一筋すぎたせいもあって、一度就職した息子が会社を辞めて、引きこもりになってしまった。もう役員になんてなれそうもなかったし、せめて今からでも家族としっかり向き合おうと思って、退社を決心したところでした」