佐藤優が斬る!
欧米のビジネスエリートと「イスラム国」の共通点

社会人のための「役に立つ教養」講座
佐藤 優 プロフィール

「われわれは絶対に正しい」という思考の型

彼らの思想を裏返すと、「IS(イスラム国)」の考え方と似ていることに気付きます。「自分たちは選ばれた存在で、絶対に正しく、勝利が約束されている」という理屈ですから。中核派や革マル派も同じで、「われわれは絶対に正しい。いずれ革命は成就する」と信じています。

こうした目的論的で強力なエネルギーは、欧米のビジネスエリートが体得している、プロテスタンティズムとほとんど同じです。善し悪しは別として、世界にはこういった「思考の型」があるということです。

プロテスタンティズムの論理は、実際のビジネスシーンにおいても役に立ちます。たとえば、頑張っているのになかなか結果が出ない部下を励ますとき、「もっと頑張れ」と言ってしまうと、かえってプレッシャーを与えるかもしれません。「お前はダメなやつだ」なんて言えば、部下は潰れてしまうでしょう。

こういうときは、「このまま辛抱していれば、結果は必ずついてくる」とか、「きっと大丈夫だ。君は選ばれた人間だ。適性があるんだから」と言って励ますんです。すると、私の経験上は、だいたいうまくいきました。

さて、このようなプロテスタンティズムに代表される、いわゆる「一神教」の考え方を受け入れるのはなかなか難しい、と感じている読者も多いことでしょう。自分は無宗教だ、と思っている人も多いはずです。

日本人は、子供が生まれると神社にお宮参りをして、結婚式はキリスト教式で挙げ、葬式は仏教式、というようなことを平気でします。こうした思想をシンクレティズム(宗教混合)といいますが、このシンクレティズムの土壌があると、外国の文物を楽に受け入れることができます。

日本にはもともと八百万の神様がいるのだから、そこにキリスト教の神様がひとり加わったところで、どうということはない。そういうわけで、外来のものであっても、日本人はごく自然に包摂してしまうのです。

しかし一方で、われわれは「超越的な存在がいる」とか「絶対的に正しいものがある」という考え方には、なじみがありません。ISやキリスト教原理主義者の思考回路はもちろん、外国人の行動原理が日本人にいまひとつ分かりにくい理由のひとつは、この「超越」という概念を理解するのが難しいからです。