作家・梶よう子さんの「人生最高の小説10選」

妄想を喚起させる読書の魅力

梶よう子さんのベスト10冊

第1位『鬼平犯科帳』(一)~(二十四)
池波正太郎著 文春文庫 (一)560円他
斬り捨て御免の権限を与えられた「鬼の平蔵」こと火付盗賊改方・長谷川平蔵の活躍と江戸情緒溢れる日々を描く

第2位『三屋清左衛門残日録
藤沢周平著 文春文庫 660円
家督をゆずり離れで寝起きする隠居となった清左衛門は日録を記すことを自らに課す。命のかがやきを描く傑作長篇

第3位『幻の声 髪結い伊三次捕物余話
宇江佐真理著 文春文庫 510円
髪結いのかたわら町方同心のお手先をつとめる伊三次は今日も江戸を東奔西走。新人賞で絶賛された著者デビュー作

第4位『茶箱広重
一ノ関圭著 小学館コミック文庫 581円
「『茶箱広重』と呼ばれた浮世絵師、二代目広重の波乱の人生を描いた力作です」

第5位『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』(上・下)
村上春樹著 新潮文庫 (上)750円他
「『進撃の巨人』にも通じますが壁に囲まれた世界のファンタジーになぜか心惹かれます」

第6位『さぶ
山本周五郎著 新潮文庫 710円
「才気走った栄二を気遣う、グズだけど真っ直ぐな心根のさぶ、二人の対比がいい」

第7位『トーマの心臓
萩尾望都著 小学館文庫 648円
自殺した少年・トーマ。その死は彼の存在を繊細な思春期の友人たちの心に刻みつける

第8位『大いなる助走
筒井康隆著 文藝春秋 入手は古書のみ
「直廾賞」候補となった作家が陥る混乱と狂気。現実の文壇さえも震撼させた衝撃作

第9位『アルジャーノンに花束を
ダニエル・キイス著、小尾芙佐訳 ハヤカワ文庫NV 860円
「主人公の知能が高くなり、また低下する過程をひらがなの量で表現した翻訳に脱帽」

第10位『仁 -JIN-』(1)~(13)
村上もとか著 集英社文庫 (1)619円他
「タイムスリップというSFと江戸。大好きなものが揃いすぎてハマってしまいました」

『週刊現代』2016年4月23日号より