日本IBM「クビにしたい会社vs残りたい社員」裁判〜法廷の大バトルを完全再現

「できない社員」のクビを切るのは許されるのか?
週刊現代 プロフィール

資料として提出された、Cさんから上司あての「遅刻・欠勤理由メール」は30通。送信時間は午前10時~11時ごろが多いが、午後0時や1時をまわってから、「本日休みます」とだけ送られたものも散見される。上司はたびたび「連絡は朝にするものだ」「休む理由もきちんと伝えなさい」という旨を返信していた。

ダメでもクビは切れない?

これらの証言は、あくまで日本IBM側が示したものであり、額面通りに受け取っていいかは分からない。例えば、前述した勤務態度の悪さについて、当のBさんは、

「当時の上司からパワハラ・嫌がらせを受けていたので、対応がぶっきらぼうになった」

と反論している。

だが、裁判所は最終的に、会社側の主張もかなりの範囲で認めた。

〈(Bさんについて)円滑なコミュニケーションに問題が生じたこと、(中略)問題行動があり所属長からも注意がされていたことが認められる。被告(=会社)が主張する解雇事由は、その全てが認められるわけではないものの、相当程度これに対応する事実が認められる〉

この判決の最も画期的な点は、客観的にみて、社員側にある程度問題があると立証されても、

〈解雇すべきほどの業績不良があると直ちに認められるわけではない〉

という判断が下ったことにある。つまり、会社側の一方的な人事評価で、社員のクビを切ることはできない——この点において、「残りたい社員」のほぼ完全な勝利と言えるだろう。前出の水口弁護士はこう語る。

「解雇無効となった以上、会社側は社員を戻して、仕事をさせなければなりません。個々の事実に納得できない点はありますが、原告の皆さんはホッとしていると思います」

日本IBM広報に控訴の意志について尋ねると、「今後の対応は検討中です」とのことだった。

「週刊現代」2016年4月16日号より