日本IBM「クビにしたい会社vs残りたい社員」裁判〜法廷の大バトルを完全再現

「できない社員」のクビを切るのは許されるのか?
週刊現代 プロフィール

一方で気になるのは、「会社側は、本当に彼らを正当な理由なくクビにしたのか」という点だ。

裁判記録を見ると、会社側はかなり踏み込んで、社員の「業績不良」の内訳を述べている。例えば、前出のAさんが、新任部署の研修で受けたテストについて——。

「この研修は、新入社員が受ける程度のレベルの研修であり、かつ、通常は1週間で終えるものであるところ、原告Aについては研修期間を2週間に設定した。ところが、Aは研修終了後にその成果を確認するための試験(通常は全員が1回で合格する試験)に不合格となり、2回目の試験を行っても合格することができなかった」

他にも、他の社員が四半期に30件ほど処理できる業務を、Aさんは1件も処理できなかったことや、1件あたりの所要時間が10分程度のデータ入力業務を、1日に6~7件しかやっていなかったことが記されている。

会社側は「原告の勤務態度にも大きな問題があった」とも主張した。例えば、前出のBさんについては、このように述べている。

「原告Bは、Tシャツ、ジーンズにサンダルといった社内の服装マナー基準に違反する服装で出勤しており、(中略)所属長が幾度も注意したが、同原告は、マナー委員会が作成した服装基準・イラストには効力がないとか、茶髪の外国人に注意をするのかといった不合理な主張を繰り返し、服装を改めなかった」

「新しい業務を担当するよう何度も話したものの、原告Bの態度は一向に改善せず、そればかりか担当している業務に対する意欲について質問をされた際には、『意欲はこれといってありません』と明言することすらあった」

会社によれば、Bさんは上司に「何か言うときは全てメールにしてくれ」と要求した、ともいう。

別の原告Cさん(当時53歳)に関しては、かなり頻繁に遅刻・欠勤していたと会社側は言う。

「コアタイムの開始時刻までに出勤しないことが度々あったほか、少なくとも20日以上、必要な手続きを経ることなく休暇を取るなど、依然として勤務時間の管理に問題があった」