日本IBM「クビにしたい会社vs残りたい社員」裁判〜法廷の大バトルを完全再現

「できない社員」のクビを切るのは許されるのか?
週刊現代 プロフィール

'12年12月21日、東京地裁103号法廷には、定員を超える100人以上の傍聴希望者が詰めかけた。この日以降、翌'13年の夏にかけ、断続的に原告・被告双方の意見陳述が行われた。

原告である、解雇された5人の社員は、全員が40代~50代の「ベテラン」と呼ばれていい年代だ。まず、Aさん(当時49歳)は、概略こう主張した。

「私は'08年、当時所属していたSTH(セールス・トランザクション・ハブ。営業の後方支援事務を行う部署)で月間MVPを受賞しています。また、'09年にはチームリーダーから感謝状と盾も授与されるほど評価されてきました。

にもかかわらず、今年('12年)7月、具体的理由を告げられることなく解雇されたのです。長時間労働のせいで患っていたうつ病も、これによってさらに悪化しました。

収入を断たれ、食費は1食300円以内に切りつめています。同居して面倒を見ている両親にも、心配をかけている」

日本IBMには、「PBC(パーソナル・ビジネス・コミットメンツ)」と呼ばれる独特の人事評価システムがある。社員と上司が話し合って年初に目標を設定し、その達成度に応じて、上から順に1~4の評定が付けられる。これは相対評価で、3(貢献度が低く、業績の向上が必要)や4(極めて不十分な貢献)の評価を受けるのは、全社員の下位1割前後だ。原告にも、過去数年にわたって3~4の評価を受けた社員が多かった。

「2年連続で3以下の評価だった場合、『解雇候補者』と見なされ、さらに『業務改善のために指導したが、改善の見込みがないと判断した場合、解雇する』というのが会社側の主張です。今回の社員もその対象になったのだ、というのです」(原告代理人弁護士の東京法律事務所・水口洋介氏)

「パソコンは置いていけ」

続いて陳述したBさん(当時40歳)は、会社側の解雇のやり方について異議を述べた。いわゆる「ロックアウト解雇」のことである。

これは、ある日突然、上司や人事担当者に呼び出され、一方的に解雇を告げられるというものだ。今回判決の下った5人以外にも同様の裁判が進行中だが、その原告のひとりはこう語る。

「私の場合、ある日の午後3時半くらいに、いきなり直属の上司から『これから会議をします。たいへん重要な会議なので、出席できない場合は人事上の懲罰を行うことがあります。5時に会議室においでください』とメールが送られてきました。