寿司ロボット三兄弟で世界を制す! 知られざる超優良企業「鈴茂器工」の秘密

ニッチなジャンルで一人勝ち

「スシロー」でも「かっぱ寿司」でもない、回転寿司業界の超優良企業「鈴茂器工」。なぜ同社だけがこの業界において圧倒的な地位に君臨しているのか?

実在する「Tゼミ」(瀧本哲史京都大学客員准教授が顧問)をモデルにした東大ブラック企業探偵団が回転寿司業界の勝者」を明らかにする。このゼミでは、公開情報に基づく企業分析と政策分析を通じ、過酷な現代社会を生き抜くための意思決定方法を学び実践している

東大・京大で売り上げ第一位!日本最強の企業分析小説が、回転寿司業界の勝者「鈴茂器工」の秘密に迫る

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その四、寿司は世界を回る
寿司ロボット三兄弟

「あらためて見ると、本当に立派な業績だわ。営業利益率は2013年度で約15%」(図1-14)

鈴茂器工の業績推移を一同に見せるマオ。

「外食チェーンがどこも1〜4%の利益しか出せていないのと比べると、圧倒的だな……」

鈴茂器工は食品用充填機・冷菓資材の販売を目的として1955年に創業。その後、1981年に世界で初めて寿司ロボットを発明して以来、回転寿司業界の全国拡大の歴史とともに製品の改良を重ねてきた。

「そういえば、先日テレビで、オーディオテクニカっていう音響機器メーカーも寿司ロボットを製造している、って特集されていました!」

とヤスシ。

「そうね、ヘッドホンやワイヤレスマイクで有名なオーディオテクニカもたしかにこの市場に参入しているわ。ただしそのシェアはまだ5%程度よ」

「何で鈴茂だけがそんなに圧倒的なんだ?」

カンタは首をひねる。

「これを見て」

「な、なんだこれ!」

「主要な寿司ロボットメーカーの特許取得件数よ。鈴茂が圧倒的ね。世界初の発明をした強み、先行者優位を活かし、納品先の回転寿司チェーンから上がってくるフィードバックを取り入れて寿司ロボットの改善と新商品の開発に力を注いできたのよ」(図1-15)

「圧倒的な技術力なんですね……。でも、お寿司を握るのにそんなにたくさん特許が必要なんでしょうか? 間近で見られたらなあ……」

ヤスシがぽつりとつぶやく。

「実際に見たほうが早いだろう。おいカンタ、いったん食うのはやめて、行くぞ」

ハルキはそう言うなり、フロアにいた丸っこい体つきの男性店員のもとに寄っていった。

「ああ〜、さっきの学生さんじゃないですか」

ハルキに見覚えがあるらしいこの男性店員は、どうやら店長らしい。ニコニコしていて、人柄が良さそうだ。スシローでは、時間帯によっては店長がフロアの見回りをするのだ。

「すみません、僕の友だちも連れてきたんですが、さっきのアレをもう一度見せてもらっていいですか?」

「どうぞどうぞ。ただし今は少し混んできているので、あまり詳しく解説できないかもしれませんが……」

ハルキは今日一日、回転寿司チェーンをあちこち回って実地調査していたのだった。

「うおお、近くで見ると改めてすげえ……」

厨房に近づくと、休む間もなく多種多様なロボットが動き続けている。

「こっちは『軍艦巻きロボット』。あの細長いのが『海苔巻きロボット』。あっちでいちばんせわしなく動いているのが『握りロボット』。3つあわせて寿司ロボット三兄弟といわれてるんですよ」

「す、寿司ロボット三兄弟ー!?」

「あのう、なんで御社は、鈴茂の機械を導入しているんですか?」

マオが抜け目なく尋ねる。

「うちの寿司は、シャリの量を基準値から誤差数グラム以内に収めないといけないんですよ。経験の浅い店員が握るとついつい多めにシャリを使ってしまってムダなコストがかかってしまうんですよ」

店長は誇らしげに軍艦巻きロボットをさす。

「もちろんそうは言っても、機械に作らせて美味しくなくなったら、お客様にお出しできません。本末転倒ですよね。その点、鈴茂さんのロボットはシャリの握りの硬さまで完璧なんですよ。私は実際に機械導入のコンペにも立ち会ったんですが、これには驚きました」

「なるほど……! 1台おいくらぐらいするんですか?」

なおも食い下がるマオに、店長は怪訝な顔をする。

「はあ、どれもだいたい1台100万円ぐらいですけど……。どうしてそういったことを気にされるんですか?」

「いいよマオ、ここからはまたオレが解説するから……」

ハルキが店長ににこやかに礼を言い、テーブルに戻っていく。

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