回転寿司業界に眠る意外な超優良企業~勝者は「スシロー」でも「かっぱ寿司」でもなかった!

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格安で提供される回転寿司、その業界の「秘密」とはなにか?

実在する「Tゼミ」(瀧本哲史京都大学客員准教授が顧問)をモデルにした東大ブラック企業探偵団が回転寿司業界の勝者」を明らかにする。このゼミでは、公開情報に基づく企業分析と政策分析を通じ、過酷な現代社会を生き抜くための意思決定方法を学び実践している

東大・京大で売り上げ第一位!日本最強の企業分析小説が、回転寿司業界の「いい会社」「悪い会社」を徹底分析する。

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その三、回転寿司業界に眠る超優良企業
回転寿司業界の勝者は「スシロー」?「かっぱ寿司」?

「ふーん、でもやっぱり私がよくわからないのはね……」

マオがハルキに向かって言う。

「外食オペレーションの自動化の流れ自体は、目新しくもなんともないでしょう。創業以来手作りの味にこだわっていた吉野家でさえ最近ご飯盛りロボットの導入を始めたぐらいよ」

マオは先ほどの話の途中でポイントは「自動化」であると目をつけ、黙々と事例を洗い出していたのだ。

「でもいくら自動化を進めてもゆくゆくは価格を切り詰めること以外では差別化ができなくなる、つまり回転寿司だって、コモディティ化が待っているだけじゃないの?」

「今からそれをじっくり話すよ。ただ、その前に……」

周囲をあまり気にしないタイプのハルキではあるが、さすがに周囲からUTBDに向けられる奇異な視線には気づいたようだ。

「ここはもう出ようか」

すき家を出た一行は、地下鉄に乗っていた。目指す先は回転寿司チェーンの最大手「スシロー」である。

マオは、車中で開いたノートパソコンに向かって調べ物を続けている。牛丼チェーン経営の深刻さを聞いたばかりのヤスシは何も言わない。そんな中でやはり口を開いたのはカンタだった。

「ハルキ、わかったぜ。回転寿司業界が今後も成長する理由」

「ほう、言ってみな」

「さっきの話って、要は商品で差別化できずに価格競争に陥るためどこもしんどい、ってことだろ? じゃあ、価格競争をしなければいい。付加価値をつければいい!」

言いながら自分の意見に自信が湧いてきたカンタは力強く続ける。

「……回転寿司といえども寿司は寿司! 寿司はまさに高級品で、品数も豊富。だからコモディティ化しないっていう、そういう話だろ!?」

駅への到着を告げるアナウンスが流れ、ドアの前に乗客が集まる。押し出される形で4人が降りる。人ごみにもまれながらもカンタは自信に満ちた表情を崩さなかった。

「違うぞ」

ハルキはあっさりと否定する。いつのまにかノートパソコンを閉じていたマオはそれ見たことかといわんばかりだ。

「全国展開してイケイケな回転寿司チェーン。今私たちが向かっているスシローのようなところね。アンタ、あそこで食べたことある?」

「もちろんあるさ。1皿100円だからいくらでも食べられて……あっ」

「ほらね。回転寿司チェーンのお寿司は、もう価格を下げきってるのよ。たまにある高価格のものだってせいぜい500円。高級寿司屋とは比較にならないわ」

カンタがみるみるうちにしぼんでいく。

「ねえ、カンタ。本当にもうちょっとひとつひとつの事実を丁寧に分析し、それを積み上げて論理的に深く考えるということをしたほうがいいんじゃないの。何か思いついたらすぐそれを結論に結びつけすぎ」

「なんだと、言わせておけば……!」

「まあまあ、それぐらいにしとけよ。さすが、マオはどうやらわかっているみたいだな? 回転寿司業界の秘密が」

ヒートアップする2人の間に、さらりと仲裁に入るのはハルキだ。

「ええ、もちろんよ。じゃあ、私の口から説明させてもらえるかしら」

そうこうしているうちに一行はスシローの店舗に到着した。

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