トランプよ、俺の歌を使うな! ニール・ヤングもR.E.M.も大激怒……お騒がせ男の「炎上選曲」が止まらない

アメリカ大統領選を10倍楽しむ
川崎 大助 プロフィール

トランプへの苛烈な抗議

さて、そんな特徴が顕著なアメリカのポップ音楽家にとっても、やはり4年に一度の大統領選は一大イベントとなる。力が入る。構えてしまう、ところもある。ゆえに、どこかの陣営の「キャンペーン・ソングに選ばれた」としても、喜んでばかりいられるわけではない。

というか、逆のパターンも多い。その起用が、自らの政治信条に沿わない場合などには、悲喜こもごものすったもんだが生じてしまう……こともある。

今回の選挙戦ならば、「キャンペーン・ソングのすったもんだ」の主役は――言うまでもなく――共和党の候補である、ドナルド・トランプだ。まずは、以下の苛烈な抗議の叫びを聞いてほしい。

「くそくらえ!(Go fxxk yourselves)この、みじめで、受け狙いの、権力亡者の小人物どもめ。僕らの音楽や僕の声を、選挙のためのお前らの低能な茶番に使うな」

――こんな悲痛とも言える言葉をツイッターにて放ち、トランプ候補に怒りをぶつけたのは、バンドR.E.M.のフロントマン、マイケル・スタイプだった。

R.E.M.のマイケル・スタイプ〔photo〕gettyimages

R.E.M.とは、80年代から活躍し、カレッジ・ラジオ局周辺から人気を得て、90年代のオルタナティヴ・ロック・ブームの先駆けともなった、要するに「とてもリベラルな」バンドだった。そんな彼らの楽曲「It's the End of the World As We Know It(And I Feel Fine)」が、バンド側に「まったくの無許可で」トランプに使用されてしまったのだから穏やかではない。

しかもその「使用された時と場所」が、よりにもよって、(バンド側には)きわめて堪え難いシチュエーションだった。この「R.E.M.事件」が起きたのは昨年(2015年)の9月9日。ワシントンDCにて、草の根急進保守の「ティーパーティー」が主催する集会にトランプが参加したときのこと。「Stop the Iran Deal」と題されたこの集会は、オバマ政権が合意したイランの核開発限定容認に「NO」を突きつけるためのものだった。

ここにトランプは、同じく共和党の大統領候補であり、強硬派としても知られるテッド・クルーズ上院議員とともに参加した。そして自らの登壇の際に「It's The End Of The World~」のサビの部分をスピーカーで流したのだった。それはもう、マイケル・スタイプにとって悪夢的な光景だったことは想像に難くない。