世界のCEOが選んだ尊敬するリーダー第1位! チャーチルの不遇と成功

なぜロンドン市長が彼の伝記を?
小林 恭子 プロフィール
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最大の違いは第2次世界大戦という緊急事態の発生によって、とうてい首相就任は無理と長い間思われていたチャーチルが実際に首相になったことだ。英国は戦争という大きな危機を乗り越えることに成功した。

チャーチルが大好きで、小さな頃からチャーチルに憧れてきたボリスにとって、チャーチルのように英国をまとめ上げ、大きな業績を達成するのが最大の政治上の夢だ。そうしてこそ初めて、ボリスの自己愛が成就される。

チャーチル・ファクター』はなぜ、英国で大きなアピールを持ったのか?

それは、国民の多くにファンを持つボリスが、多くの英国民がその業績を忘れつつあったチャーチルの人生を分かりやすい言葉を使って書いて見せたからだ。等身大のチャーチルが再現された。

ボリスが大好きな国民はチャーチルの不遇や成功をボリスの不遇や成功に重ね合わせ、政界に興味を持つ人は、ひょっとしたらひょっとするかもしれないボリスの政治野心を分析するために、ページをめくった。第2次大戦のような事態はもう英国には起きないだろうけれども、ボリス流チャーチル伝を読む醍醐味がここにある。

日本の読者にとっては、意外と知らないチャーチルの人物像がボリスの手によってありありと見えてくるに違いない。

小林恭子 (こばやし・ぎんこ)
在英ジャーナリスト。秋田県生まれ。1981年、成城大学文芸学部芸術学科卒業(映画専攻)。外資系金融機関勤務後、「デイリー・ヨミウリ」(現「ジャパン・ニューズ」)記者・編集者を経て、2002年に渡英。英国や欧州のメディア事情や政治、経済、社会現象を複数の媒体に寄稿。「新聞研究」(日本新聞協会)、「Galac」(放送批評懇談会)、「メディア展望』(新聞通信調査会)などにメディア評を連載。著書に『フィナンシャル・タイムズの実力』(洋泉社)『英国メディア史』(中央公論新社)、『日本人が知らないウィキリークス』(共著、洋泉社)、訳書に『チャーチル・ファクター』(プレジデント社)。 http://ukmedia.exblog.jp/