世界のCEOが選んだ尊敬するリーダー第1位! チャーチルの不遇と成功

なぜロンドン市長が彼の伝記を?
小林 恭子 プロフィール

チャーチル伝を書いたボリス

新刊『チャーチル・ファクター』はオリジナル版が2014年秋に発売されると、英国ではあっという間にベストセラーとなった。

チャーチルはBBCが2002年に行った「もっとも偉大な英国人」のランキングでも1位になるなど、英国内でも高い人気を持つ政治家だ。本が売れた理由の1つは、もともとチャーチルがそれだけ国民に愛され、尊敬されている人物だったという点がある。

しかし、この本が大きな話題になり、普段は政治の本を買わないような人が手に取るに至ったのは、著者が「ボリス」ことボリス・ジョンソンであったことが大きい。現在のロンドン市長である。

ジョンソン市長を一言で言い表すなら、「ボリス」としか言いようがない。一つのキャラクターになってしまっているからだ。

人種差別的発言もいとわない米共和党のドナルド・トランプ大統領候補と同列視するのはどうかとは思うが、いささか乱暴に例えれば「英国版トランプ」と言えなくもない。ジョンソン自身も政治的には保守派で、同性愛者に対する偏見や人種差別とも受け取れかねない発言をしたことがあるからだ。

しかし、政治家としては軽いと見られているものの、国民には圧倒的なアピール力を持つ人物だ。誰もがその顔を見たがり、声を聞きたがるのである。

ボリス・ジョンソンは1964年、ニューヨークで生まれ、現在51歳。トルコ・オスマン帝国の閣僚だった人物の子孫にあたり、先祖には18世紀の国王ジョージ2世もいるという、良い家柄の出身だ。父は元欧州議会議員。

名門私立校イートン校、オックスフォード大学というエリート街道まっしぐらのコースをたどる(ちなみに、現首相のデービッド・キャメロンは2歳年下だが、同様にイートン校からオックスフォード大学に進み、大学ではある交友クラブのメンバー同士だった)。

卒業後は全国紙デイリー・テレグラフの記者を経て、政治雑誌「スペクテーター」のコラムニストから同誌の編集長となった。2001年には保守党の下院議員として初当選。政治家とジャーナリストという2足の草鞋をはいた。

2008年にはロンドン市長選で当選し、現在は2期目を務める。同年からは市長職に専念していたが、昨年5月の総選挙でまた下院議員に当選。同時に、キャメロン内閣では閣議にも出席している。

ロンドン市長であることもあって正式な内閣のメンバーではないものの、市長としての任期が切れ次第、閣僚職に就くと見られている。また、首相自身がかつて述べたように、「次の首相候補者」の一人である。