飛び交う怒号! 住友不動産「全棟建て替え」住民説明会・完全中継

週刊現代 プロフィール

なにより、と住友不動産関係者は続けて明かす。

「われわれが一番恐れていたのは、実は住民の管理組合理事会と決裂することだった。理事会に突っぱねられて、『住友不動産が勝手に全住民一人一人と交渉してください』となれば、こちらがいくら人手と時間を割くことになるか。ましてや住民の間でも意見がバラバラなので、想像するだけでもぞっとする。その最悪のシナリオが避けられたのが一番の収穫だった」

全棟建て替えには全所有者の5分の4の賛成が必要になるが、それを取りまとめていくのは住友不動産ではなく、住民による管理組合になる。

住友不動産は「全棟建て替え」や「手厚い補償」を提案して誠意を見せているつもりだが、最も大変な調整作業は住民側に「丸投げ」したというのが実情なのである。

「マンションは約260戸と住民が多い。管理組合はこれから全住民へのアンケートをもとに意見を集約していくことになるが、住民が分断されている中で意見をまとめるのは容易ではない。意見集約が長引くほど、問題が長期化して住民はどんどん疲弊していく。

住民説明会後に行われたマンション管理組合による記者会見で組合理事が、『いまになって全棟建て替えになって、どうしてくれるんだという思いが強い』と語っていたが、これが本音でしょう。全棟建て替え方針が出てきたことで、むしろ住民の混乱は深まってしまった」(現場を取材した記者)

誠意が微塵も感じられない

問題はそれだけではない。

今後、マンションを全棟建て替えする際には熊谷組が施工を担当する予定なのだが、住民の熊谷組に対する反発は大きい。

実際、説明会では住民から、「熊谷にこれ以上、建物に指一本触れさせないでください」「おたく(熊谷組)の方針に、まったく信用ができないんです」といった声が上がっていた。

弁明するように、樋口社長が「できればもう一回チャンスをいただきたい」と語っても、住民からは「もう一回のチャンスとか、そんなに悠長なことを言っている暇はないんですよ」と、断固拒絶する声が上がったほどである。

杭はきちんと打っていないし、基礎のコンクリート部分にも杜撰な工事を行っていたのだから、熊谷組に任せたくないという住民の気持ちは理解できる。しかし、そんな住民の願いはかなえられそうにない。