『あさが来た』の脚本家・大森美香が舞台裏をすべて明かす!
~残り1週だから、話せることがある

週刊現代 プロフィール
本作で多くの俳優がブレイク

「〝五代さま〟こと五代友厚ですね。元々、新次郎のほかに、実業家としてあさを引っ張ってくれる男性を登場させたかった。そして、どうせならソフトな新次郎とは正反対の性格にしようということになりました。

ですから、キャスティングが決まる前は、ワイルドな薩摩男児のイメージで書いていたんです。原案本の描写では、お召し物もボロボロのようでしたから、荒々しい風貌を想像していました。

ところが、ディーン・フジオカさんに決まり、劇中の衣装を着た写真を見ると、非常に英国紳士風。洋装も美しくスマートに着こなしていらっしゃったので、五代さんの性格も紳士にシフトしていきました。英語のセリフも自然と増えていって。

そもそも、朝ドラで五代友厚を取り上げると決めた時に、最初は抵抗があったんです。大阪経済の父と呼ばれる彼の偉業を思うと、限られたセットの中では、描き切るのは難しい。ワールドワイドな動きをして、人々を強く引っ張っていってくれるリーダーシップを持つ人物ですから、試行錯誤が続きました」

想定外の五代さまブーム

劇中では「ラブの話をしましょう」など気障な言い回しが印象的で、それがさらなる五代さまブームをあおった。

「セリフも考え抜きました。五代が死を前にし、病床に伏せるシーンもそう。五代は新次郎に、あさと新次郎は比翼の鳥だと熱く語りかけます。これは雄と雌が一体となって飛ぶ中国の伝説の鳥。英国紳士の五代ですが、上海にも留学経験があり影響も大きく受けている。ずっと英語だったからこそと、最後の決めゼリフにひねりを加えてみたんです」

流暢な英語を交えて、あさを実業家の道へ導く五代に人気が集まり、志半ばに早逝すると、「五代ロス」と呼ばれる社会現象まで起きた。NHKには、五代の延命を願う投書も多数寄せられたという。

一方、史実ならば若くして亡くなっているはずのあさの姉・はつ(宮崎あおい)が生きているのはなぜかという指摘もあった。

「実を言うと、私は脚本を書く際、これほどみなさんが原作を読み、史実を追ってくださるとは予想していませんでした。オンエアが始まる前後から関連本が続々と刊行され、私も知らなかった事実がいろいろと出てきたのです……。

とはいえ、『あさが来た』は原案本『小説土佐堀川』をモデルに作っていることが大きい。本には、姉の晩年の描写はなく、私は、どこかで元気に暮らしているのだと思って読んでいました。ですからその思いのまま、縁が途切れずに、あさとずっと交流があったらどうだっただろうと話を膨らませていったんです。

ふゆ(清原果耶)が新次郎の妾になるのかどうかも注目されて驚きました。原案本にもお妾さんは登場していましたが、私の中ではその位置づけは、どちらかというと、うめ(友近)でしたから。