私たちのDNAの大部分は、「ウイルス」で出来ていた!

最新研究が塗り替えた驚きの「生命」像
中屋敷 均 プロフィール

―ウイルスから、生まれた細胞性生物ですか?

中屋敷:もちろん本当にそんなことが起こるかどうかは分かりません。でもそれは「起こり得ること」です。

なぜそう言えるかといえば、今の生物は恐らくすべて細胞などないところから生じてきていますし、何よりウイルスは「情報の保存」と「情報の変革」のサイクルを展開できるあの分子装置を持っているからです。

だから、ウイルスは生物進化とまったく同じ様式で、今後様々な姿に変わり得る存在です。

ウイルスが、これからどんな風に進化していくかなんて、誰にも予測できませんが、そういったダイナミックなウイルスのこの世での有り様は、やっぱり「生きている」という風に私には思えるのです。

―中屋敷さんの「ウイルス愛」はよく分かりました(笑)。最後に読者に向けたメッセージは何かありますか?

中屋敷:ウイルスには、マイナスのイメージを持つ人が多いと思いますが、それは矮小化されたウイルスの情報ばかりが流れているからだと思います。ウイルスは、生物のようでもあり、また無生物のようでもあり、生命とは何かを考える格好の材料です。そして読者の皆様が、たぶんまだ知らないような様々なウイルスが、この世には存在しています。

今回の本では、そんな一風変わったいろんなウイルス達を紹介しています。そういったウイルス達の「生き様」を通して“ウイルスは生きている”ということを実感してもらえたらと思っています。

中屋敷 均(なかやしき ひとし)
1964(昭和39年)年、福岡県生まれ。1987年京都大学農学部農林生物学科卒業。博士(農学)。現在、神戸大学大学院農学研究科教授(細胞機能構造学)。専門分野は、植物や糸状菌を材料にした染色体外因子(ウイルスやトランスポゾン)の研究。趣味は、将棋、山歩き、テニス等。著書に『生命のからくり』『ウイルスは生きている』(講談社現代新書)