創作は辛いけど楽しい。作家・朝吹真理子が見つけた「ものづくりの極意」

朝吹真理子×向田麻衣【第3回】

向田: soapを贈った人と贈られた人のストーリーをまとめていったり、映画にしたりすることもあり得る。はじめに蒔いた種がぎゅっと詰まっていて健全だったから、すくすく芽がでて、いい枝葉ができてきた。このまま純度が高い状態でやっていければ、自然に広がっていくだろうと思っている。

今回のMessage Soapを生み出す経験を経て、狂気にさらされずとも世の中に何かを生み出すことができそうだという片鱗を感じる。作る過程で苦難があまりなくて、というよりそれ自体もチームのみんなが目撃してくれる安心感もある。本来なら苦しい作業も、楽しくできた。

朝吹: 私にとって創作は、楽しいことだけれど辛いことのほうが多かった。でも長編は大変なのだけれど、楽しい。文学は懊悩しなければならないとか、外圧を自分から作っているところがあったけれど、そこから解き放たれたところがあります。ちょっとずつだけれど。

向田: 真理子さんも変化の時期なんだね。長編を読めることが本当に楽しみ。

朝吹: お互い変化の時期に出会ってこうして話せることが嬉しいね。麻衣さん、これからも声を交換したいです。ありがとう。

朝吹真理子(Mariko Asabuki)
1984年、東京生まれ。慶應義塾大学前期博士課程在籍(近世歌舞伎)。2009年、「流跡」でデビュー。2010年、同作で堀江敏幸氏選考によるドゥマゴ文学賞を最年少受賞。2011年「きことわ」で第144回芥川賞受賞
きことわ』朝吹真理子著
向田麻衣(Mai Mukaida)
Lalitpur 代表。高校在学中にネパールを訪問し、女性の識字教育を行うNGOに参加。2013年5月にネパール産オーガニックスキンケアブランドLalitpur(ラリトプール)をスタートしネパールの女性の雇用創出と自尊心の回復に取り組んでいる http://lalitpur.jp
『”美しい瞬間”を生きる』向田麻衣著