ほめられたら要注意!? 京都人の「ウラとオモテ」を楽しむ

世界の中心は「京都御所」
週刊現代 プロフィール

井上氏が続ける。

「この『洛中中心主義』は、有名人にも容赦ない。たとえば、歌手の倖田來未さん(京都市伏見区出身)がデビューしたとき、全国的には『京都の歌姫』と紹介されましたが、洛中の人たちは『あの子は伏見の子やから京都人やない』と当然のように言い切っていました。

洛中には、室町時代から代々同じ場所に住み続けている豊かな商人の末裔が多く、彼らには、『京都の代名詞』ともいえる祇園祭などの文化を支えてきたという自負がある。中には、未だに東京に行くことを『東下り』と言う人も少なくありません」

滋賀? ゲジゲジみたいやな

これを聞いて、

「京都の名士は、さぞプライドも高いのだろう」

「人前ではお上品な洛中の人が、ウラでそんなことを言っていたなんて」

と済ませるのは早計である。この「洛中中心主義」は、洛中から離れるにつれて「京都市中心主義」そして「京都府中心主義」と裾野を広げ、まるで目に見えないピラミッドのように、京都府全域を覆っているのだ。

例えば、同じ京都市でも、洛中からは山をひとつ越えた先の山科区に生まれ育った、30代男性はこう言う。

「よその人から見ると、電車で1駅やからすぐやん、と思うでしょうけど、洛中と洛外は世界が違いますからね。『餃子の王将の社長が殺された事件、まだ犯人捕まれへんのやろ? 怖いわあ』(注・事件が起きた王将の本社は山科区にある)とか、未だに洛中の知り合いに言われますもん。

でも、僕らも亀岡や滋賀と一緒にされたら『そりゃ違うやろ』となる。京都人にとっては、京都御所が世界の中心。そっからどれだけ近いかで、順位が決まるんです」