川崎老人ホーム連続殺人犯の元同僚が証言「私が見た”闇”の実態」

分刻みの労働管理、モンスター家族の圧力
中村 淳彦 プロフィール

――心身が追い詰められる中で、認知症高齢者が意味なくナースコールを押しまくったと。それで抜いてしまったわけですね。

飯山 あの虐待の映像は4月のことです。いつものようにナースコールが鳴り止まず、利用者の息子が来ない時間帯に抜いたんです。けれど息子がイレギュラーな時間に来て、ナースコールが鳴らないと騒ぎだした。そして虐待の映像のDVDを各所にばら撒いたんです。僕も映っています。(ナースコールを)抜くときと、「このボタンを押したら爆発しちゃいますよ」って言っているのが僕です。

――このラインスケジュールで、意味なくコールされたら本当に対応は不可能です。

飯山 さらに、その当時(2015年1~4月)、他にもモンスター家族がいました。自分の親を特別扱いしろと細かく、書面にして僕たち職員に指示をしてくるし、やっていないと騒ぐ。介護職を召使いの奴隷と思っているのでしょうね。

その息子は本人が元々利用者の母親を身体的に虐待していた。息子の暴力から逃げるためにSアミーユ川崎幸町に入ったんです。行政の措置ですね。それを息子が見つけちゃって、週のうち、施設に何度も泊りに来るようになった。

 

――モンスター家族までいたんですか…。「高齢者はお客様」を徹底している施設ほど、モンスター家族は野放しになります。

飯山 施設はその息子に、何も言えないですよね。夜中にお酒を飲んで、どんちゃん騒ぎをしたり、利用者の母親と一緒にお酒を飲んで騒いだり。息子が帰った後、利用者の母親がお菓子やアイスをあけまくって、そこら中がチョコまみれで汚れていたり。僕たちに威張り散らして、好き放題やっていましたね。利用者には罪はないですよ。けど、その息子に多くの職員たちは徹底的に追い詰められていた。

――介護の仕事以外にモンスター家族の監視まであったとなると、それは厳しい。

飯山 認知症だから暴力を振るわれても忘れてしまう。過去に散々殴られていることも忘れているわけです。息子がいなくなると不安になるから毎日「息子はどこ?」と、ナースコールを押しまくる。もう悪循環です。野放しのモンスター家族がいる、さらに転落死も起こった、当時施設はめちゃめちゃな状態でした。

でも、現場が崩れたそもそもの始まりは、施設長の交代だったような気がします。