川崎老人ホーム連続殺人犯の元同僚が証言「私が見た”闇”の実態」

分刻みの労働管理、モンスター家族の圧力
中村 淳彦 プロフィール

80人をたった2人でまわす体制

2015年9月某日のライン表。各担当者のスケジュールが15分刻みでびっしり埋めつくされている(提供・飯山氏)
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「Sアミーユ川崎幸町」を運営するメッセージ創業者の橋本俊明元会長は「介護の生産性向上に向けた工夫」(https://www.amille.jp/top/write/files/file01.pdf)と題する論文を雑誌に寄稿するなど、介護現場の合理化推進派としても知られた人物だ。

少ない人員で合理的に運営する「Sアミーユ川崎幸町」は、分単位の労務管理をする代わりに労働基準法違反はなく、サービス残業もほぼなかったという。給料は23万円程度と業界の中では高水準。人材不足の中で超高齢化社会を迎える、近未来の介護施設運営を実践していたといえる。

「残業なし」「業界高水準の給与」など、表向きには聞こえのいい職場だが、一方で現場の職員たちはこの合理的な経営によって想像を絶する苦痛を強いられていたのだ。

 

――このライン表はすごいですね。コンピューターで分担を割りだしているんですよね。分単位で管理すれば、飯山さんの理想だった“あたたかい介護”は無理でも、業界に蔓延するブラック労働はなくなります。

飯山 1人1人の細かい業務が決められているので、本当に手を抜きようがない。特に夜勤は厳しく、休憩時間がそれぞれ2時間あるので、実質2人で80人をみないといけない。

ナースコールを意味なくボンボン押す利用者もいれば、深夜の徘徊もある。スケジュールが細かく決められているから何が起こっても対応できない。最初はうまくやっていたつもりだったのに、どんどん理想と現実のギャップが生まれて精神的におかしくなりました。