福島原発「国会事故調」元委員長の告発「日本の中枢は、いまなおメルトダウンを続けている」

日本の脆弱さは、世界にバレていた
黒川 清

警鐘を鳴らさずにはいられない

3・11によって、人々の世界観は劇的に変わった。しかし、5年が経過して、福島第一原発事故は徐々に風化してきてはいないだろうか。

事故を引き起こした当事者である東京電力、原子力関連省庁、規制諸機関、そして政府や国会、それらを構成し支える私たち国民一人ひとりは、事故の反省をすべて消し去ろうとしているように見える。このままでは、同じ過ちを繰り返しかねないように思える。

国会事故調の委員長を務めた者として、こうした思いから本書を出版するに至った。

国家の危機が目前に迫っていても対応できない日本の「リーダーたち」への歯痒さ。日本を支えている産官学のコアの部分が、メルトダウンしていることへの危機感。私は警鐘を鳴らさずにはいられない。

世界への影響が非常に大きな事故だからこそ、この事故から学び、そこで得た知見を世界と共有し、現在も続く汚染水処理やこれからも起こり得るアクシデントに生かしていく姿勢が重要だ。

しかし、日本という国には、その姿勢が欠けている。このままでは10年後、20年後の日本はダメになる。いや、すでにダメになっているのかもしれない。原発事故に限らず、日本が再び大きな問題と直面した時に同じような失敗を繰り返し、決定的・不可逆的に国際社会で孤立し、信用をなくしてしまうだろう。

福島第一原発事故は終わっていない。この事故を機に変わらなければ、日本の将来は極めて危うい。そのことを、国民一人ひとりに強く意識していただきたいと、切に願っている。