プロ野球からノンプロへ
〜正田樹、河原純一……男たちの葛藤と、再出発の物語

週刊現代 プロフィール

「正直に言えば、ふと考えることはありますよ。野球以外で自分にできる仕事はなんだろうとか、やりたいことあるかな、と。みっともなく現役にしがみついている、と言われているのもわかっています。

でも……まだ自分の中に、何かを成し遂げた感覚がないんです。やってきたことに、満足できていないんです。野球ができないのなら諦めるしかない。でも、まだ自分を現役でいさせてくれるチームがある限りは、全力でプレーし続けたいと思っています」

人からどう評価されるかではなく、自分が満足できるか。野球だけに生きてきたプライドがあるからこそ、正田は不完全燃焼のまま終わりたくないのだ。

それだけに、NPBへのこだわりもかつてほどはなくなったという。

「プロに戻りたいというよりも、野球をまだやりたいという純粋な気持ちです。環境やレベルは関係ない。練習して自分を追い込んで、抑える喜び、勝つ喜びを求めていきたい。独立リーグにも、真剣勝負はありますからね。いつか満足できる日が来るように、一日一日を悔いのないように過ごすだけです」

もう腐ることはない

元ホークスで、現在はクラブチーム・ミキハウスベースボールクラブに所属する山田秋親(37歳)も、いまだ現役にこだわり続けている。

150㎞を超える速球を武器に、関西学生リーグを席巻。立命館での4年間で通算17勝という成績をひっさげ、「アマチュアナンバーワン」として鳴り物入りでプロへと進んだ山田だったが、結果が残せないまま二軍暮らしが続き、'08年オフに戦力外を通告された。

山田が振り返る。

「大学時代はすべて自分の思い通りになるという感じだったので、プロの壁にぶち当たったときの挫折感は大きかったですね。結果が出ない理由に向き合わず、体調が万全ならとか、ケガが治ればとか、『たられば』ばかりのマイナス思考に陥りました。戦力外になる1年くらい前には肩も故障して、『もう自分から辞めたるわ』くらいの気持ちになっていた。

でも、それも覚悟があったわけじゃなく、投げやりになっていただけ。いざ本当に戦力外を言いわたされると、無念や悔しさが湧き出てきた。クビと言われて初めて、自分には野球しかないことに気づいたんです」

このままでは終われない。そう決意した山田は、ホークスから紹介してもらった独立リーグ・福岡レッドワーブラーズの練習に参加することにした。

環境の厳しさに戸惑いがあったのは事実だが、ここでの経験が自分の野球観を変えてくれたと、山田は言う。

「ひたむきに上を目指す若い選手たちの姿に刺激を受けました。プロ時代は現実から逃げてばかりで、向上心は持てなかった。それが独立リーグでプレーするなかで、もう一度上手くなりたいという気持ちになれたんです。練習に参加して半年後には選手として試合にも出させてもらいましたが、これが野球なんだと、その楽しさを改めて知ることができました」