小保方晴子さんに「読者からの手紙」続々

『あの日』が26万部のベストセラーに!
週刊現代 プロフィール

読む人の心を映す鏡

前出の岩波氏も、小保方さんのみに責任を負わせる風潮に、医師の視点から異論を述べた。

「ふつう、論文の共著者には、不祥事があった場合は連帯責任があります。『私はこの実験のここからここまでしかやっていないので、不正については知りません』という言い訳は通りませんから、若山氏らからも何らかの説明が必要でしょう。

それに、『世紀の発見』といわれた科学論文が、再現性が認められずボツになる、というのは、『ネイチャー』に載るようなレベルでも決して珍しいことではありません。

精神医学界でもしばしば『自閉症の原因遺伝子が見つかった』といった画期的論文が発表されますが、大半は再現できず、消えていきます。世間が小保方さんに過剰な期待を寄せ、『STAP=小保方さん』という図式を作り上げてしまったことが、そのまま過剰なバッシングに形を変えていったのではないでしょうか」

 

小保方さん自身、STAP細胞に関する研究論文での画像の切り貼りや、早稲田大学に提出した博士論文での「コピペ」に関して、『あの日』の中で否定しているわけではない。彼女の行為を、許せない人もいるだろう。

それでも、『あの日』が多くの読者の心を強く揺さぶるのは、「彼女一人を、スケープゴートにしていいのか」という、誰もが心の奥底で感じている「疾しさ」を、本書が呼び起こすからではないか。最後にもう一つ、読者の声を紹介したい。

〈 小保方さんの本を読んだ話を何人かの知人に話したが、みんな一様に反応は厳しい。小保方さんの「人となり」に対するバッシングがすごくて本の話をすること自体がむずかしい。もう科学者としての道具をすべて剥ぎ取られ消された人だ。

(中略)どうして、こんなに本気でやっつける必要があるのかな。小保方さんの何が、人をこんなに不安にさせるんだろう 〉

『あの日』は、読む人の心を映す鏡のような本だ。本書を虚心坦懐に読まずして、STAP騒動を語ることはできない。

「週刊現代」2016年3月12日号より