なぜ日本政府はPKF部隊派遣にこだわるのか? 自衛隊「駆けつけ警護」問題の真実

先進国では日本と韓国だけ…
伊勢崎 賢治 プロフィール

事故は時間の問題

自民党は改憲を党是としている。

日本国民の自衛隊アレルギーを、PKOという”崇高”な「反対しにくい」海外派遣で払拭する。これが歴代自民党政権の思惑であった。

この見え透いた戦略の目標は、既に達成されている。自衛隊を否定する世論は、もはや、無いに等しい。

あとは、最後の一押し、「事故」を待つばかりか。そして、それを「9条のせい」にするか。

「撃ちにくい銃」を持たされてきた現場の自衛隊員。間違って撃ったら国外犯になりかねない矛盾をどの日本人より痛感し、薄氷を踏む思いで任務を、無事故でやってきた。数々のミッションで他国の軍と活動してきた筆者から見ると、これは、奇跡である。

今回の安保法制というより、これがなくても、民主党政権以来送られている南スーダンの情勢悪化と、国連PKOの劇的な”好戦化”により、事故は、時間の問題なのである。

安保法制ハンタイ、安倍政権ハンタイばかりに熱狂していると、ここが見えなくなる。事故が起き、それが感情的に政治利用された時、そういう世論は、”流される”。

事故で憲法が変わる。僕は、イヤだ。

伊勢﨑 賢治(いせざき・けんじ)
1957年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科修士課程修了。インド国立ボンベイ大学大学院に留学中、現地スラム街の住民運動に関わる。2000年3月 より、国連東チモール暫定行政機構上級民政官として、現地コバリマ県の知事を務める。2001年6月より、国連シエラレオネ派遺団の武装解除部長として、 武装勢力から武器を取り上げる。2003年2月からは、日本政府特別顧問として、アフガニスタンでの武装解除を担当。現在、東京外国語大学教授。プロのト ランペッターとしても活動中。著書に『武装解除 紛争屋が見た世界』、『本当の戦争の話をしよう』などがある。