サラバ社畜人生!40歳で大企業を辞めた男たちが教える「稼ぐ思考法」

井上 久男 プロフィール

東京海上は日本で最高クラスの年収が得られることでも知られる。こんな超優良企業に勤めるエリートでも会社を去った。その理由を聞くと、「グローバルで競争するためにはもっと自分が強くなる必要があります。そのためには武者修行が必要だと考えて決断しました。大企業だと自分の守備範囲は狭いが、もっと幅広くやってみたかった」と米倉氏。年功序列が残る大組織では、若いうちにリスクを取る仕事ができないとの思いもあった。

最初の転職先はグローバルを意識して米GEの金融部門だった。2年でその部門が新生銀行に売却されることになったが、売却プロジェクトのリーダーを務め、東京海上にいてはできなかった経験もした。すぐに他の外資に良い条件で誘われたが断り、「ぐるなび」に移った。食文化を豊かにするといった創業者の理念に惹かれると同時に、飲食業やネットでの経験によって自分の幅が広がると考えたからだ。執行役員に就き、経営企画等を担当した。

しかし、年収は東京海上時代から比べて激減した。「専業主婦だった妻がパートに出るようになった」と米倉氏は苦笑いするが、全く後悔していない。「そもそも東京海上を辞める時も、企業年金をもらえる資格が得られる直前でした。人生は限られている。お金の損得で動いていたら、心を燃やせる仕事はできません」と米倉氏は強調する。

ぐるなびで約3年間勤めて実績も出し、「かなりやり尽くした感じが出た時に、今のCCL社の再建を頼まれ、未知の世界で社会に意義のある挑戦ができるという、わくわく感を覚えて、転身を決めた」そうだ。社長報酬は40歳の時の東京海上の年収よりも低い。

米倉氏が社長を務めるCCL社は、「ID-POS」を活用してマーケティングやコンサルティングを行う会社だ。ID-POSとは、どのような顧客(ID)が、いつ、どこで、何を買ったかを把握できるシステムのことで、国内で代表的なものとしては「Tポイントカード」や「ポンタカード」などが挙げられる。

ただ、多くのID-POSは、データが会員企業の中でしか活用できないのを、CCLはそれをオープンにして地方の商店街でも活用できよるようなシステムにしていこうとの基本理念がある。2015年4月からは、全国の売れ筋商品情報を無料で開示するWEBサイト「ウレコン」もオープンさせた。

米倉氏は言う。「システムを構築できる資金力がある大企業しか活用できないものを、中小も手軽に利用できるようにして地域経済を活性化させたい」。こんな問題意識もある。「日本の小売りはいつも価格競争に陥り疲弊している。データをしっかり分析して何が求められているのか把握すれば価格競争にも巻き込まれないで済む」

「報酬」とは何か

米倉氏の場合は社会性も強く意識している。CCL社の経営は決して楽ではないが、米倉氏は最近、「使命感」の大切さを感じる。「人間はみな社会をよくするために生まれている。自分はビジネスを通じて社会をよくしていきたい」。