2016.03.02

サンダース旋風がヒラリーに与える「党内外圧」

スーパーチューズデーの焦点【民主党編】
渡辺 将人 プロフィール

穏健派vsリベラル派の「党内」抗争

2大政党制のアメリカでは政党内のイデオロギーの幅はとてつもなく広い。政党の路線争いは今に始まったわけではない。

民主党は1930年代から1960年代後までニューディール政策を柱にした労働者寄り政党だったが、1960年代以降、公民権運動、ヴェトナム反戦運動、女性解放運動など「運動の季節」が到来。ニューポリティクスと呼ばれる高学歴層の党内発言力が高まり、環境保護運動、消費者運動なども台頭した。

だが、急激な左傾化は無党派層や社会の「主流」には受け入れられず、民主党は1980年から3回連続で大統領選挙に敗北した。経済と福祉の行き詰まりが経済成長を鈍化させ、インフレ率と失業率が上昇。レーガン政権を誕生させた。

危機感を強めた民主党は、ホワイトハウス奪還のために党の方針の修正に踏み込み、経済成長と国際的競争力を重視するニューデモクラットが台頭した。その象徴がビル・クリントンだった。

クリントン政権は、再分配から経済成長への優先の転換、財政規律の回復、国際競争力増大への自由貿易推進、特定の産業を振興する政策を推進した。労組や環境団体が反対していた北米自由貿易協定(NAFTA)を1994年に発効させたほか、1996年の福祉改革法では要扶養児童のいる家庭への扶助給付制限にまで踏み込んだ。

しかし、2000年代半ば以降、ニューデモクラット運動は同派の幹部がイラク戦争を支持したこともあり低迷。リベラル派が党内の実権を握るようになった。

ペローシの下院議長就任、オバマ政権の誕生、ウォーレンの上院当選、サンダース旋風は、党内の穏健派へのリベラル派の巻き返しの系譜に連なる。

その意味で、サンダース旋風は別段「突然変異」ではない。唯一「異変」と言えるのは、民主党の外側にいた独立系の「外れ者」が、その系譜に参入してきたことだ。

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