丸山ゴンザレスが見た「破綻国家」ギリシャの現実〜難民の後を追って、裏路地を行くと…

丸山 ゴンザレス プロフィール

外国人お断り

このまま中を見ないで帰るという選択肢はない。ドアノブをまわして入ったが、薄暗い店内には誰もいない。気合を入れていただけに拍子抜けした。ここからどうすればいいのか……。とりあえず声を掛けてみる。

「ハロー」

店の奥で人の気配がし、初老に差し掛かったぐらいの女性が出てきた。

(この人が!?) 

ギョッとなったのは一瞬で、すぐに脳内で訂正作業が進行した。ついさっき目撃した裸体の女性は、張りのある巨乳。失礼ながらこの棺桶に片足を突っ込んだような老婆であるはずもないので、もう一度「ハロー」と笑顔でこちらが客であることをアピールしてみた。どうやら私が外国人であることはすぐにわかったようだ。

「うちはギリシャ人だけだよ」

無理もない。私の容姿はどこからどう見ても黄色人種のそれである。慌てず騒がず「そうですか」と落ち着いた返事をした。一歩も引かない私に対しておばさんはさらに繰り返す。

「外国人はダメ。英語は話せない」

お前いま英語で話しているだろ!と突っ込みたいところだが、正直、どこかでこれ以上踏み込まなくて済んだことに安心していた。

とはいえ、なにも情報を得ぬまま帰るわけにもいかない。私はもう二、三質問を投げてみた。