「長生き」がリスクになる社会〜すぐそこにある「老後破産」の危機

100歳まで生きるとこんなにお金がかかる
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思わぬ出費、認知症にどう対応するか

認知症保険に入るべき?

予想外の出費は老後の収支を大きく狂わせる。なかでも最も予想しにくいのが介護費用だ。とりわけ認知症の場合は金銭面・精神面共に負担が大きい。

もし親や配偶者が認知症になった場合、どうするか。認知症の患者をいちばん安く介護する方法は、もちろん在宅での介護だ。民間の見守りサービスなどを利用しても月額3万〜5万円で収まるので、年金で賄える。

ただし言うまでもなく、介護する側の負担はとてつもなく大きい。息子や娘夫婦など、近くに手伝ってくれる人手があればまだいい。しかし周りに助けてくれる人もおらず、介護の負担で共倒れになってしまえば、元も子もない。

では、介護施設を利用する場合はどうか。高齢者住宅・老人ホームに詳しい経営コンサルタントの濱田孝一氏が語る。

「入居一時金のない介護付き有料老人ホームに入った場合、毎月の支払額は20万円を超えるケースが多い。さらに介護食などを頼むと月1万5000円程度の追加料金を取られる。他にも個別の外出や指定回数以上の入浴を希望すれば、追加料金が発生します」

前章で見た通り平均的な年金の受給額は22万円程度。介護付き有料老人ホームに配偶者を入れたら、追加料金を支払わないとしてもそれだけで年金が吹っ飛ぶことになる。濱田氏が続ける。

「一方、入居一時金を払う有料老人ホームの場合、入居時に保証金と一緒に償却期間分の家賃を前払いすることになります。もし長生きをして、償却期間が過ぎてもその施設に住み続ける場合、家賃は払わなくて構わないので結果としてお得だとはいえる」

ただし、入居後3ヵ月以上経ってからホームが気に入らなくなって退去した場合、一時金の保証金部分は戻ってこないから注意したい。また一概には言えないが、入居一時金を払う施設は比較的高級な施設が多い。さらに認知症の問題行動が目立つようになると退去させられる場合もある。

認知症の親や妻を抱えて長生きしても比較的安心できる施設が、特別養護老人ホームだ。だが、こちらは全国で50万人もの高齢者が入居待ちをしている「狭き門」。介護保険料の自己負担と家賃を合わせて実質負担は7万〜15万円くらいで有料老人ホームよりは割安だが、入居待ちしているあいだにも、認知症は進行していく。

そしてもちろん、「自分自身が認知症になる」という可能性も、考えなければならない。そこで登場したのが、認知症保険である。これは民間の介護保険の一種で、所定の要介護状態になった場合に給付金が下りたり、1ヵ月の介護サービス費が一定額を超えるとおカネが戻ったりする仕組みである。