「長生き」がリスクになる社会〜すぐそこにある「老後破産」の危機

100歳まで生きるとこんなにお金がかかる
週刊現代 プロフィール

小金持ちが危ない

年金の支給額が多い「小金持ち」家庭こそが、老後破産の予備軍と言われているのをご存知だろうか。

渡辺健司さん(77歳、仮名)は現役時代は大手メーカーに勤め、年収は700万円あった。夫婦合わせた年金も32万円と、それなりの生活を送るのに十分な額を受け取っている。

「それでも、家計は火の車ですよ。中途半端に余裕があるから、妻は友達としょっちゅう韓国や台湾に旅行に出かけていますし、私もしばしば息子の家族が住む九州へ遊びに行く。最近は孫の教育資金として100万円を譲渡しました。

そうこうするうちに、退職時には3000万円あった貯金も、気づいてみたら700万円くらいになっている。

夫婦ともに健康なのはいいのですが、このままお互い100歳まで生きるとなると、どこかで破産することは目に見えています。いざ、老人ホームなどの施設に入るということになっても、妻がそれなりのグレードのところでないと納得しないでしょう。財布の紐を締めようと思うのですが、長年の浪費癖はなかなか直せなくて……」

実は渡辺さんのような比較的恵まれた家庭でも、老後資金が底をつくケースは多い。自分が長生きするかもしれないとぼんやりとはイメージしていても、実際に自分が100歳まで生きた場合の収支を試算している家庭は意外に少ないのだ。

千葉県勝浦市に住む水口靖さん(71歳、仮名)とその妻は、「月12万〜13万円もあれば十分」だという。水口家は自営業だったので、基本の年金は国民年金の13万円。これに共済年金の5万円を加えて月18万円だが、毎月貯金ができるという。

「10日分の献立を考えてまとめて食材を買うので無駄もなく、食費は一日1000円くらい。出ていくおカネで大きいのは自動車の維持費くらいのものですかね」

年金の受給額が少なくても水口さんのように赤字を出さない生活をしていれば、長寿はリスクにならない。むしろ預金額は増えていくので、病気になったときの不安も軽くなっていく。

気をつけさえすれば、老後の生活は現役時代よりおカネがかからないものだ。100歳まで生きることを前提に、夫婦で老後のマネープランを見直してみよう。そうすれば長生きすることへの不安は薄らいでいく。