「長生き」がリスクになる社会〜すぐそこにある「老後破産」の危機

100歳まで生きるとこんなにお金がかかる
週刊現代 プロフィール

90歳で貯金がなくなる

一方で、収入となる年金の受給額はどうだろうか。

「厚生労働省が1月29日に発表した平成28年度の年金額を見ると、夫が元サラリーマンで妻が専業主婦という平均的な世帯は、厚生年金が月額22万1507円となっています」(紀平氏)

仮に毎月の出費が26万円、受け取る年金が22万円として計算してみよう。毎月の赤字額は4万円。年額にして48万円だ。年金が満額支給される65歳から100歳まで生きるとして、35年間、毎年この額の赤字が出れば、合計で1680万円の赤字になる。

ただし、これは病気で入院したり、想定外のアクシデントが起きたりしなかった場合。30年もの長い老後生活、不測の事態が起きずに、寿命を全うすることのほうがむしろ稀だろう。例えば足腰が弱ってきても自宅に住み続けることになれば、バリアフリーにするためのリフォームが必要になる。一般的な改修費用は約300万円だ。

加えていざというときの介護費用として、少なくとも500万円の予備費を用意しておきたい。合計すると赤字の総額は2480万円—。

80歳で死ぬなら、足りていたかもしれない。しかし、100歳まで生きるには足りない。そんな人は、この国にゴマンといるはずだ。いやむしろ、足りないほうが、多数派だろう。

サラリーマンであれば、退職金が大きな老後の資産となる。従業員が100人以上の企業に勤務していた人の退職金と企業年金の合計金額の平均は、約2200万円。実際は税金もかかってくるので、受け取る額が2000万円だと考えると、100歳まで生きる場合の収支は、やはりマイナス480万円にも上る。

このケースだと仮に85歳に亡くなっていれば、240万円の遺産を遺せるはずだった。長生きしたばかりに破産してしまう典型的なパターンだ。