「資生堂ショック」いまだ収まらず~「産まない女子」と「産んだ女子」が職場で大ゲンカ

「逆マタハラ」という恐怖
週刊現代 プロフィール

雪解けの日はくるのか

女子同士の対立が生まれるさらなる要因として、世代間でのギャップという「越えられない溝」もある。『「育休世代」のジレンマ』の著者・中野円佳氏が言う。

「かつて短時間勤務などとは無縁で、出産そのものや子供との時間を諦めてキャリアを築いた40〜50代の女性は、若い世代が育休や時短を長く使うのを見て『甘えている』と感じてしまうことがあります。

一方、自分のキャリアを犠牲にして子育てをしたという思いを持っている人は、自分より若い人たちが『子育てに時間を割きながら、やりがいのある仕事もしたい』と言うのを、贅沢と思うこともあるでしょう。どちらかしか選べなかったという時代の背景がマタハラにつながるケースもあります」

こうして、女子たちの複雑な思いは、悲しくすれ違い、なかなか「落としどころ」を見つけることができない。

女子同士の対立を解消し、彼女たちが気持ちよく働くための改善策はあるのだろうか。前出のルディー氏はこう言う。

「どんな制度もそうですが、制度を整えただけでは、問題は解決しません。杓子定規に『育休が当たり前』ということで何でも済ませてしまうと、逆に周囲への配慮がなくなります。『相身互い(お互い様)』の精神こそが重要になってくる」

ショックの発火点となった資生堂はいまどういう状況なのだろう。人事部の担当者が説明する。

「'14年の改革は、職場を統括するマネージャーが各BCと綿密に面談を行い、十分に要望を汲み取ったうえで、時短勤務の人にも遅番や土日出勤ができる環境にするというものでした。

全部で約1万人いるBCのうちの約30人が辞めましたが、時短勤務者からは『いままで負い目を感じていたのでよかった』という感想などもあり、全体として結束は高まったと思います。ただ、これを続けていくと、BCに寄り添うマネージャーの負担が非常に重くなる。そこが今後の課題です」

十分な制度が整備されたうえで、女子同士の感情が噛み合えば、問題は解決する。だが、その道のりはまだまだ長そうだ。

「週刊現代」2016年3月5日号より