「資生堂ショック」いまだ収まらず~「産まない女子」と「産んだ女子」が職場で大ゲンカ

「逆マタハラ」という恐怖
週刊現代 プロフィール

「裏切ったわね」

会社がマタハラに配慮し、育児を支援する制度を充実させるのはいいことには違いない。それは分かっていながらも、「産まない女子」たちは、「産んだ女子」たちに配慮が行き届くことを、苦痛に感じてしまう。前出の板野さんが続ける。

「うちの会社では、アパレルで企業イメージを大切にしたいということもあって、マタハラに対する意識は高まっています。でも、行き過ぎもあるんです。

先日、20代の女子社員が妊娠したので、会社は『大変な仕事をさせてはいけない』と配慮して、彼女に残業の少ない部署に異動してもらいました。そしたらその子、『私はこんな仕事をしたいわけじゃない。私のキャリアを潰す気ですか?』と逆ギレですよ。

産休、育休で気を遣ってあげているのに、何様のつもりなんだと。その子、何か大きなプロジェクトを任されるどころか、そんなチームに入ったこともない。ただ花形の商品企画(部)にいたってだけで勘違いするなっていうんですよ」

同僚の妊娠を「裏切り」と感じるケースもある。白石理子さん(36歳・仮名)は、飲料メーカーに開発職として勤務する。

「私にはパートナーのように働く、少し上の先輩がいました。彼女は30代後半までは仕事一筋だったんですが、38歳で突然外資系の金融マンと結婚して妊娠すると、『私、産休取るから』と言っていなくなってしまった。

彼女がいなくなった穴を埋めるため、補助の人員がつけられましたが、まだ20代で、しかも営業からの異動。全然スキルがなく、私に仕事が集中して、めまいがするほど忙しい。しかも彼女は、一旦戻ってきたと思ったら、2年ほどでまた妊娠して産休を取ったんです。私は忙しさにかまけて独り身のまま。どうしてくれるんですか」

一方で、「産んだ女子」たちは、「産まない女子」からの批判をどうとらえているのか。病院の事務員として働く深田めぐみさん(29歳・仮名)は現在、時短勤務を利用している。

「子育てをしていない女性には分からないと思いますが、こっちもすごく申し訳ない気持ちで働いているんです。子供が熱を出して迎えに行かなくちゃいけない時、女性の上司に嫌味を言われることもありましたが、何も言い返せませんでした。こんな苦労を同僚に話しても、『それは自分で選んだ道でしょ?』と言われてしまう。

でも、今後の教育費を考えれば働かざるをえないんです。老後破産とかよく聞くし、旦那の収入じゃ専業主婦ってわけにもいきません。決められた制度を利用して何が悪いの、という気持ちもあります」

都市銀行勤務の酒井智子さん(32歳・仮名)も時短で働いている。

「うちの職場には、ほかにも子育て中で時短勤務をしている人がいますが、その人は残業ができます。彼女は自分の両親が近くに住んで育児をサポートしてくれているから可能なんですが、それを見た支店長代理が、『あの人は残業できるのに、なんでキミはできないの』とネチネチ聞いてきたことがありました。個々の事情なんて酌んでくれない。そうすると、子育てしてるのに残業もしている彼女が妬ましくなってくるんです」