大統領選ではトランプおじさんが大人気ですが、アメリカは向こう4年間は内にこもったままでしょう

島地勝彦×加瀬英明 【第4回】
島地 勝彦 プロフィール

シマジ いまはアメリカ軍の兵隊が日本の基地にへばりついていますが、アメリカ自体がシュリンクしていけば、もう日本の基地なんていらないと思うかもしれませんよね。

加瀬 アメリカの議会でもそれをいう人が最近増えているんですよ。沖縄の基地なんかいらない、有事駐留でいいじゃないか、という意見が出ているんです。

韓国の在韓米軍も同じです。たしかに韓国のほうが国力は北を圧倒しているし、装備だって桁外れに優位です。北朝鮮のほうはテレビでみていても、走っている戦車は1960年代のものですよ。だからドンパチやったら、韓国のほうが圧倒的に強い。

だけれども、アメリカのホワイトハウスや国防省の幹部は「しかし、韓国軍は士気が低い」というんです。北朝鮮が万が一攻め込んできたとき、そこにアメリカ軍がいなかったら大変だ、と。

シマジ いなくても大丈夫だと思いますけどね。

加瀬 話が飛んで申し訳ないですが、イラク軍はアメリカから最高の装備をもらっていました。ところがイスラム国(IS)とぶつかると、みんな高価な戦車や大砲を置いて逃げちゃった。いまイスラム国が持っているアメリカ製の兵器は全部、イラク軍から奪ったものなんです。

その伝で行くと、韓国にアメリカ軍が駐留していないと、おそらくイラクの政府軍と同じ轍を踏むのではないか。だからわれわれアメリカ軍を置いておかなければならないんだと、ホワイトハウスは思っているのでしょう。

シマジ でも、そもそも、フセインを排除してアメリカ的民主主義をイラクに植えつけようなんてバカなことを考えたのは笑止千万ですよ。なんでアメリカというのはそういう単純なものの考え方をするんでしょうね。

加瀬 おっしゃる通り。7世紀にムハンマドが登場してイスラム教が生まれたわけですけど、以来、中東のイスラム圏で民主主義が行われたことは1度たりともないんですから。

シマジ 日本の場合はマッカーサーが天皇制を破壊せずに巧く残して安定した統治に成功しましたよね。わたしが思うに、イラクにとってフセインは「必要悪」だったんじゃないでしょうか。フセインを排除して、まったくの無の状態からアメリカ的民主主義を植えつけようというのは、ちょっと傲慢すぎますよ。

加瀬 まるで危ない蜂の巣を突いた感じです。フセインのイラク軍を解体しちゃったので、その不満分子が全部イスラム国へ行ってしまった。だからあれだけ強いんですよ。

アメリカが日本を占領したとき、大失敗したことは、日本帝国陸軍と海軍を完全に解体してしまったことです。あれを少し残していれば、いまごろ、矛盾だらけの自衛隊ではなく、中国の挑発にも動じない精強な日本軍が出来ていたはずです。