目標を達成する人は「絶対にやらないこと」を3つ決めている

五郎丸ルーティーンの生みの親が明かす「心の鍛え方」
荒木 香織

自分がやりすぎているという意識は、たぶん本人にはなかったと思います。ケガをしてブランクがあったがゆえに、他人に自分を評価してもらいたかったのでしょう。自分が求められるレベルに達しているという確証を得たかったのです。

たしかに、いろいろなことをやっていれば、それなりの評価は受けられる。それは安心感にはつながるのでしょう。しかし、自分の意志ではなく、他人からの評価を気にして動くのは、結局は健康なモチベーションとは言えません。

私は思いました。

「自分の楽しみとか、身体のコンディションを上げるといったことに焦点を絞ったほうがいい」

そして、提案しました。

「このなかで絶対に譲れないというのを挙げてください」

そのうえで、いまやっていることに優先順位をつけてもらった。

すると、やるべきことが六つ、「ケガを完全に治す」「どこで誰とこういう練習をする」「バランスのいい食事をとる」といったことが残りました。

同時に、「スケジュールを詰め込まない」「お酒を飲みすぎない」「夜一二時を過ぎるまでの夜更かしをしない」など、「絶対にやらないこと」も確認しました。

つまり、「これだけはやること」を6つ、「絶対やらないこと」を3つ挙げたわけです。やるべきことには、「自分がやりすぎていないことを評価する」という項目も入れました。

最近は自己啓発の本を見ても、将来的な大きな目標を掲げたうえで、小刻みにシンプルな目標を立て、それをクリアしていくことで段階的に大きな目標達成に向かっていくことが奨励されています。

ただ、それが定説となって流布されるあまり、いくらでも目標はあっていいと勘違いする人がいます。

でも、いちばん大切なのは、言うまでもなく、掲げた目標を達成することです。たくさん立てた目標を、実際に達成しているかといえば、じつはそういう人はとても少ないのです。

小学生のころから「夏休みの宿題は計画通りにやりなさい」とか「今月中にかけ算のドリルを終わりにすること」というふうに、他人に目標を設定されてやってきたから、自分のキャパシティを理解しないまま目標ばかりたくさん立てる。その結果、達成できなくて、焦ったり、「自分はダメだ」と思い込んだり、あきらめたりしてしまう人が、けっこういるのです。