世界の貧困を終わらせるために、私たちができること〜ウェブ時代の「倫理的な生き方」とは?

シリコンバレーで大注目
池田 純一 プロフィール

寄付金は効果的に使われているか?

2010年代に入りEAが急速に注目を集めた背景には、ウェブの登場が直接的な影響を与えている。

というのもEAはまず、ウェブを経験した世代ならば当然思いつく比較検証的な活動から始まり、ついで、そうした活動を倫理的なものとして位置づけようとする動きが続いた。つまりボトムアップからトップダウンへの二段階の過程を踏んでいる。

EAという呼称も、第二フェーズに入った2011年に採用された。シンガーがグル(導師)扱いされたのもその頃からのことだ。

具体的には、第一フェーズは「メタチャリティ」と呼ばれる、従来稼働していたチャリティを、事業者と寄付者の双方の観点から効率化し最適化するような団体から始まった。

代表例は2006年創立のGiveWellだ。EAムーブメントの草分けと言われるGiveWellは多くのチャリティ団体を独自のリゴラスな観点から評価し推奨する。2006年といえば、FacebookやTwitterなど、ウェブのソーシャル化が始まった頃である。

GiveWellの創始者であるカーノフスキーとハッセンフェルドはもともとヘッジファンドに勤めていた。高額の収入を得ていた二人は、収入の一部を寄付しようと考えた。

だが、実際に寄付先を決めるために情報を集めようとしても、多くのチャリティは活動内容の評価結果を開示していなかった。投資の世界では当たり前の情報開示がなく、そのため活動内容の分析もできないことに気づいた二人は、結局、自分たちでその評価を行うことにした。最も支援のしがいがあるチャリティ団体を見出したいと思ったからだ。

このように寄付金の使途が「効果的かどうか」という判断を重視したところが、EAのE=Effectiveの由来だ。そこからGiveDirectlyのように、ケニアやウガンダの支援対象者に向けた直接送金サービスも生まれる。

EAにおける「効果的な」というのは、だから第一には、すでにある様々なチャリティ活動に対して、企業活動あるいは投資活動に準じた効率性を求めるものであった。