「サンダース旋風」で深刻化する民主党内の亀裂
〜「政党」の結束が揺らいでいる

アメリカ大統領選・現地リポート
渡辺 将人 プロフィール

政党献金イベントでも戦闘姿勢

ニューハンプシャー州予備選を直前に控えた2月5日、同州マンチェスターで民主党の献金パーティが行われた。その名も「マッキンタイア・シャヒーン・ディナー」。60年代に活躍したマッキンタイア、そして現職のシャヒーンという2人のニューハンプシャー州選出の連邦上院議員名を冠にした夕食会である。

サンダースとヒラリーの演説がエールの交換のように続けて行われるとあって、ニューハンプシャー入りしていた筆者も現場に赴いた。

基本的には州政党の献金パーティで、予備選の直前に行うことで集金力を増す狙いがある。

他方で、プレスに取材させることで民主党の党勢をアピールし、候補者に「空中戦」の機会を与える「メディア・イベント」でもある。全国党大会と同じように、スポーツやコンサートを行う屋内スタジアムを貸し切りで行い、ケーブルテレビが中継を行う。

チケットの値段であるが、一般席は25ドルと50ドルで席の位置で価格が違う。アリーナのテーブルでディナーを楽しめる席は夕食代込みで250ドル、500ドル、1000ドルの3つが用意された。

ステージから見て右側スタンドがヒラリー支持者エリア、左側スタンドにサンダースの支持者が陣取るのはまるで野球の応援のようだ。ラッパや太鼓こそないが、候補者名が書かれた長方形の厚紙(サイン)を掲げて候補者の名前を連呼し、まるで応援合戦である。場内を暗くして蛍光色グッズを配布するのもコンサートと同じ趣向だ。

ニューハンプシャーの地元議員や政党関係者が順に登壇して演説をしていく。

明らかだったのはサンダース支持者達の異常な盛り上がりだ。2008年のオバマ支持者と2012年のロン・ポール支持者を掛け合わせたような熱気で「バーニー!」と叫ぶコールが始まると司会が止めても止まない。制御不能だ。ヒラリー支持者はその意味では行儀が良かった。

ディナーは中盤以降荒れた。民主党全国委員会委員長のデビー・ワサーマン・シュルツが登壇して演説した際、サンダース応援席から「お前は最低だ!」という罵声が飛んだ。

政党の全国委員会は予備選挙の間は、特定の候補に肩入れせず中立を保たなければならない。しかし、シュルツはこれを破ってヒラリー贔屓が目に余るとの批判が根強かった。サンダース旋風が拡散しないように、民主党予備選ディベートの数を絞り込み、視聴率が取りにくい枠にするようにシュルツが誘導したとの疑惑も報じられていた。

シュルツと全国委員会の名誉のために記せば、真相は明らかではない。ただ、そうした噂が拡散するほど、サンダース支持層には政党幹部への不満が鬱積していた。