『真田丸』を100倍楽しむ基礎知識
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週刊現代 プロフィール
武田と織田という重しが外れた信濃は、各地の国衆が勝手に動く混乱状態に。昌幸らは新たな主、つまり後ろ盾を決めるため会議を何度も開く。その結論は……〔PHOTO〕NHKホームページより(以下同)

戦国の中小企業、「国衆」の男たち

先にも触れた通り、真田家は今のところ、一国一城の主たる大名ではなく、土着の豪族である「国衆」と呼ばれるポジションにいる。武田のような大名が大企業の経営者だとすれば、昌幸をはじめ、室賀正武(西村雅彦)、出浦昌相(寺島進)たち旧武田家臣の国衆は中間管理職、あるいは中小下請け企業の社長、といったところだ。

室賀正武(右) 正武は昌幸とは幼馴染だが、何かと場を仕切ろうとする昌幸に反発を抱き、ときに単独行動をとる。しだいに両者の対立は深まってゆく 出浦昌相(左) 甲州透っ破(忍び)のリーダーでもある昌相は、昌幸に惚れ込み重臣に。江戸時代、真田家が松代藩を治めるようになると武者奉行に就任した

第5回では、昌幸がこう漏らすシーンがあった。

「わしらのような国衆には、力のある大名にすがるしか、生き残る道はない」

「誰が最後の覇者になるか、しかとこの目で見極めて、食らいついてやるわ」

武田という「勤め先」を失い放り出された国衆たちは、昌幸のリーダーシップのもと意見を交わし、新たな主と活路を模索する。ただし表向きは一致していても、そこは戦国の世。生き残るためには、ときに仲間を欺くことさえある。この国衆同士の駆け引きからも目が離せない。

彼ら国衆は武士ながら、ふだんは領地の農民たちと交わって暮らしている。武士と農民の区別は、厳しい身分制度が確立した江戸時代に比べ、まだかなり緩やかだったのだ。

また農民にも、普段は農業をしているが、戦の際には農具や手近な武器をとって馳せ参ずる「地侍」と呼ばれる人々が少なくなかった。信繁が恋する女性・梅(黒木華)の兄である堀田作兵衛(藤本隆宏)が、その代表格。暮らし向きこそ豊かではないが、彼らもまた、真田に仕えるりっぱな家臣の一員である。